イスラエル軍との調整難航=ガザ接種、荒廃地域の移動課題に―UNRWA
【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザ中部で始まったポリオ(小児まひ)の大規模予防接種について、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長は4日、移動が制限されるエリアでのイスラエル軍との調整が難航したと語った。5日から始まる南部での接種では軍との交渉に加え、より荒廃した地域での移動が課題になるとの認識を示した。ガザからオンラインで日本メディアの取材に答えた。
大規模接種は1日から始まり、3日間で約18万7000人が接種を終えた。現地で地元保健当局などとの調整に当たる清田氏は「いい結果だ」と評価。初日は接種会場に100メートル以上の列ができ、南部から訪れる人も大勢いたと振り返った。
接種の対象地域では時間を限定して戦闘が休止されることとなっている。ただ、絶えずイスラエル軍のドローンの飛行音が聞こえ、接種時間の前後には爆撃音が響いたと指摘。それでも接種会場を訪れた母親は、「子供と一緒に安心して外出できたのは久しぶりだ」と語ったという。
清田氏によると、移動が制限されるエリアでは、イスラエル軍からの許可が下りず、初日は活動できなかった。中部では戦闘休止期間が終わるが、5日以降も軍と交渉しながら接種を続ける。
南部は対象人数が約35万人と多く、調整が必要なエリアも広範にわたる。インフラが激しく破壊されている中、どれだけワクチンなどの物資をスムーズに届けられるかが課題となる。清田氏は、「ガザの人々の期待は大きい。そうした期待に沿って(ワクチンを)提供したい」と語った。
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