集団的自衛権容認の舞台裏証言=自民・高村前副総裁が新著
自民党副総裁や外相を務めた高村正彦氏(82)が日本外交の舞台裏を語った新著「冷戦後の日本外交」(新潮選書)が出版された。安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した経緯を証言。安倍首相(当時)がフルスペック(全面的)の行使容認ではなく、一部容認案に当初から理解を示していたと明らかにした。
高村氏は当時の与党内の議論で中心的な役割を担った。著書では、自民党が野党時代の党会合で、高村氏が厳しさを増す安全保障環境を理由に、1959年の砂川事件の最高裁判決を踏まえ「国の存立を全うするために必要な自衛の措置」に限って集団的自衛権は認められると主張。安倍氏は「分かりやすい。必要最小限なら(憲法改正をしなくても)今の憲法下でできるということですね」と理解を示した。高村氏は「えっ、一部容認でいいの」と驚いたという。
その後に発足した第2次安倍政権は2014年に、集団的自衛権行使を限定容認する憲法解釈の変更を閣議決定。衆院憲法審査会では憲法学者が「違憲」と断じたが、政府・与党は翌15年に安保関連法を成立させた。安倍氏の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の国際政治学者が行使容認を求めていた中、高村氏は「リアリストの安倍さんはこの(一部容認)論理ならいけると判断したのだと思う」と振り返った。
[時事通信社]
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