2024-01-22 07:24国際

「戦争は子供たちを変えた」=公演続けるガザの曲芸団体―パレスチナ

 【カイロ時事】イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が長期化するパレスチナ自治区ガザで、戦時下に暮らす子供たちの恐怖心や家族を失った悲しみを少しでも減らそうと、曲芸団体「ガザ・スターズ・サーカス・スクール」が公演を続けている。しかし、子供たちの心の傷は深く、代表のマジェド・ムスリミさん(34)は時事通信の電話取材に「戦争は子供たちの行動を変えた」と語る。
 団体設立は2014年。イスラエルによる経済封鎖の影響で物資が限られる中、曲芸の道具を手作りし、パフォーマンスはユーチューブの動画で学んだという。約20人が所属し、北部を拠点に大きなテントを張って、子供たちを楽しませてきた。
 しかし、昨年10月にイスラエルとハマスの衝突が始まり、テントも道具も空爆で消失。ピエロ役の親友も亡くなった。「もう続けられない」。ムスリミさんはそう考えたが、「子供たちのつらい気持ちを和らげたい」と活動継続を決めた。
 公演する避難所などは、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)と協力して決めている。ただ、安全は保証されず、公演中に近くでイスラエル軍の攻撃が始まったこともあった。避難先近くでの爆撃が増え、当初は毎日行っていた公演は週2回程度に縮小せざるを得なくなった。
 あり合わせの道具でジャグリングを披露。子供が主体となって綱引きなどで体を動かしたり、マイクで歌ったりする企画もあり、公演中はつかの間の笑顔が戻る。
 ただ、ムスリミさんは「子供たちは気が散っている」とも感じる。小突き合うなど暴力的になったといい、心配そうに空を見上げたり、マイクを持ったまま泣きだしたりすることもある。「何度も(イスラエルとの)戦争を経験してきたが、今回は子供への影響が深刻だ」と懸念する。
 ガザの保健当局によれば、戦闘開始以降、子供1万人超が死亡。国連は子供1000人以上が片脚や両脚を失ったと発表した。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は声明で、「子供たちは人生を変えるけがや病気、親や愛する人の喪失といった、言葉にならない恐怖に耐えている」と訴えている。
 ムスリミさんには昨年7月に生まれた息子がいる。「ガザは好きだが、子供を失いたくない。息子を守れるなら、ガザを出たい」。複雑な心情を吐露した。 
[時事通信社]

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