2023-12-04 14:58TOPICS

「国際法違反の可能性」=イスラエルのガザ攻撃―萬歳寛之・早大教授

インタビューに応じる早稲田大の萬歳寛之教授=11月22日、東京都新宿区
インタビューに応じる早稲田大の萬歳寛之教授=11月22日、東京都新宿区

 イスラム組織ハマスの奇襲を受けたイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃について、早稲田大の萬歳寛之教授(国際法)は時事通信のインタビューで、「自衛権を根拠としたとしても、現状の規模でイスラエルが反撃を続けることは、国際法上認められない可能性がある」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。
 ―国際法上、武力行使は認められているのか。
 国連憲章第2条4項は全加盟国に、武力の行使を包括的に禁じている。ただし第7章51条で、加盟国への武力攻撃が発生した際、安全保障理事会が措置を取るまで、自力で自国を守るための「自衛権」を認めている。
 ―イスラエルに「自衛権」はあるのか。
 イスラエルや米国は、ハマスを「テロ組織」と見なし、2001年9月の米同時テロを受けて採択された安保理決議1368などを踏まえ、自衛権を援用できると考えている。同決議は、個別的または集団的自衛権を認めつつ、テロ行為を「国際の平和と安全に対する脅威」と見なした。
 ただ、国際法上の自衛権が認められたとしても、条件を満たさなくなれば、武力行使が違法になる場合もある。今回の場合、パレスチナ側の犠牲者数がイスラエルの10倍以上であり、イスラエルの攻撃継続は、均衡を失した違法な自衛権の行使となる可能性がある。
 もしイスラエルの反撃開始前に、各国が、例えばハマス幹部を国際刑事裁判所(ICC)に引き渡すよう要請していれば、違う展開になったのではないか。イスラエルはすぐに反撃を始め、欧米も支持したが、日本には法の支配を重んじる立場としてそのような提案をする選択肢もあっただろう。
 ―今回の戦闘で国際法違反は起きているか。
 イスラエル軍は11月、ガザのシファ病院に対し、ハマスの司令部があると主張し侵攻した。国際人道法で病院は保護の対象だが、敵が有害な行為に利用している場合、保護の対象外となる。だが、攻撃側が実際にそれを立証するのは非常にハードルが高い。
 ハマスの拠点という疑いはあったかもしれないが、そこで医療活動が行われていた以上、人道法上の「病院であるという推定」を覆すことは難しい。イスラエル軍が攻撃後に公開した武器などの映像を見ても不十分だ。そもそも、本来は攻撃する前に証拠が必要だ。
 もちろん、ハマスの側も民間人や病院を「人間の盾」として使っていたなら、それは人道法で禁じられている。人質を取ることも同法違反だ。
 ―正式に国際法違反だと誰が判断するのか。
 国際司法裁判所(ICJ)やICCに判断を委ねるのは、パレスチナ、イスラエルの事情を考えると政治的に難しい。今後、国連や先進7カ国(G7)の会合といった外交の場で議題として設定されるだろう。そこで、イスラエルやハマスが示す証拠に基づき、違反がなかったか議論されることになる。 

最新動画

最新ニュース

写真特集