2023-11-28 16:46TOPICS

放射性物質の拡散想定を公表=東海第2、避難計画の検証に活用―茨城県

茨城県が公開した日本原子力発電東海第2原発の事故を想定した放射性物質拡散シミュレーション結果の一例。赤い円は原発から半径5キロ圏と同30キロ圏、紫の四角は毎時20マイクロシーベルト、赤の四角は毎時500マイクロシーベルトを超える区域を示す(茨城県提供)
茨城県が公開した日本原子力発電東海第2原発の事故を想定した放射性物質拡散シミュレーション結果の一例。赤い円は原発から半径5キロ圏と同30キロ圏、紫の四角は毎時20マイクロシーベルト、赤の四角は毎時500マイクロシーベルトを超える区域を示す(茨城県提供)

 茨城県は28日、日本原子力発電東海第2原発(東海村)で事故が起きた場合に放出される放射性物質の拡散シミュレーションを公表した。国内最大の約92万人が住む半径30キロ圏内の避難計画の実効性検証に活用する。
 大井川和彦知事は記者会見で「最大のポイントは92万人が同時に避難する必要はないということだ」と指摘。「周辺市町村と一緒に、実効性のある避難計画の完成を目指したい」と述べた。
 シミュレーションは、(1)原子力規制委員会の審査で用いる重大事故を想定した場合(2)避難が必要となる区域が生じるよう、安全対策設備が一斉に機能喪失したと仮定した場合―の2パターンで実施した。同じ風向きが長時間継続するなど、放射性物質拡散の観点で厳しい気象条件を設定。放出後24時間の各地点の空間放射線量率を評価し、計22通りを算出した。いずれも、規制委が原子力災害対策指針で定めた「全面緊急事態」を前提に、原発から半径5キロ圏(PAZ)では放射性物質放出前の避難、半径5~30キロ圏(UPZ)で屋内退避が行われるとした。
 (1)では、重大事故対策の「フィルター付きベント」を実施するなどした結果、放射性物質の放出が2.2テラベクレルにとどまったと仮定。この場合、1週間程度以内の避難(一時移転)が必要となる線量基準(毎時20マイクロシーベルト)に達する地域はなかった。
 一方、(2)では安全対策設備が一斉に機能喪失し、格納容器が破損して430テラベクレルの放射性物質が放出されたと想定。この場合、一時移転地域は原発から30キロ地点まで生じた。また、事前避難の対象外となる原発から約6キロの地点で、1日以内の避難(即時避難)が必要な線量(毎時500マイクロシーベルト)を超える地域も一部あった。一時移転が必要となる対象者は、最大で約10万5000人を見込む。ただ、常設の安全対策設備が一斉に機能喪失することは、技術的には考えにくいという。
 原発から30キロ圏内の自治体には、指針に基づき避難計画の策定が義務付けられている。県は避難計画の実効性を検証するため、日本原電に拡散シミュレーションの実施を要請していた。
 県は、シミュレーション結果に基づき、避難計画で定める移動手段や資機材の確保、ライフライン維持の検証に活用する方針。
 東海第2原発を巡っては2021年3月、水戸地裁が避難計画の不備などを認めて運転差し止めを命じる判決を言い渡し、日本原電側が控訴している。 

記者会見に臨む茨城県の大井川和彦知事=28日午後、同県庁
記者会見に臨む茨城県の大井川和彦知事=28日午後、同県庁

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