2023-11-09 19:14政治

年内衆院解散見送りへ=支持率低迷、岸田首相「経済専心」

 岸田文雄首相(自民党総裁)は年内の衆院解散・総選挙を見送る意向を固めた。内閣支持率の低迷を踏まえ、衆院選を戦う環境は整っていないと判断した。当面は信頼回復に向けて物価高対策などに全力を挙げ、年明け以降、解散のタイミングを改めて探る。複数の政府・自民関係者が9日、明らかにした。
 首相は9日、年内の衆院解散の可能性を首相官邸で記者団に問われ、「まずは経済対策、先送りできない課題に一つ一つ、一意専心取り組んでいく。それ以外のことは考えていない」と表明。首相周辺は「年内解散はない」と言明した。
 首相は自民の麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長らを党本部に集め、約50分間会談。今後の政権運営について協議したとみられる。
 衆院議員の4年間の任期が10月末に折り返しを迎え、与党には首相が今国会中の解散を探っているとの観測があった。首相は9月に内閣改造・党役員人事を行い、10月には世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を請求し、所得税などの減税も打ち出した。
 しかし、政権浮揚にはつながらず、10月の衆参2補欠選挙は1勝1敗に終わった。内閣支持率が危険水域とされる2割台に落ち込む世論調査も相次いでいる。不祥事に伴う法務副大臣など政務三役の辞任が続き、与党内では早期解散は困難との見方が広がっていた。
 2023年度補正予算案の国会審議は11月末ごろまでかかる見込みで、その後は24年度予算案の編成作業が本格化する。首相は11月末からアラブ首長国連邦(UAE)で開かれる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)への出席を検討。12月16~18日には東京で東南アジア諸国連合(ASEAN)との特別首脳会議を予定しており、政治日程の窮屈さも考慮したとみられる。
 与党内では、次の解散のタイミングは24年度予算案成立後の来年4~6月との見方が出ている。首相は来秋の党総裁選前に衆院選で勝利し、総裁選を無風で乗り切る戦略を含め、解散の機会を慎重に探る考えだ。 
[時事通信社]

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