2023-10-15 17:22スポーツ

小山直、光った状況判断=実力者追い掛け成長―MGC

男子で力走する小山直城=15日、東京都内(代表撮影)
男子で力走する小山直城=15日、東京都内(代表撮影)

 降りしきる雨は歓喜のシャワーになった。有力選手が次々と失速する中、小山直が充実の表情でゴールテープを切った。「まだ実感がない。優勝できたことは今後の糧になる」。27歳で夢舞台への切符を手にし、静かに喜びをかみしめた。
 序盤から飛び出した川内に追い付いた後の39キロ付近。先頭集団は自身と赤崎、大迫、川内に絞られていた。上り坂で周りの動きが鈍ったとみると、一気にスパート。「自分はあまり注目されていなかったので、仕掛けやすかった」。下り基調のラスト2キロで勝負を決めた。
 東農大在学中はチームが箱根駅伝に出場できず、関東学生連合の一員として4区を1度走っただけ。ホンダ入社後の前回のMGCは、同じ埼玉県出身で当時チームメートだった設楽悠太(西鉄)の積極果敢なレースを沿道から見守った。その頃は「五輪は無理だな」が本音だった。
 それでも憧れの元日本記録保持者を追い掛け、1万メートルで27分台を出すまでに成長した。昨年3月に初めてマラソンに挑戦し、今年7月のゴールドコースト・マラソンは2時間7分40秒の自己ベストで優勝。その勢いのまま大一番を制した。ホンダの小川監督は「非常にクレバーな選手。戦略的に状況の見極めができる」と評す。
 ホンダの3連覇が懸かる年明けの全日本実業団対抗駅伝を走った後、マラソンを1本挟んで五輪での入賞につなげる青写真を描く。「五輪は通過点」。泥臭く努力を続けてきた伏兵は、脚光を浴びても満足せず言い切った。
[時事通信社]

男子1位でゴールする小山直城=15日、東京・国立競技場
男子1位でゴールする小山直城=15日、東京・国立競技場

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