2023-10-12 14:13社会

86歳の母は念書を作らされた=「自由意思」返還応じぬ旧統一教会―聖本、天運石…1.2億円被害訴え

母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に総額1億2000万円余りを献金した経緯を明かす長女=10日、神奈川県内
母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に総額1億2000万円余りを献金した経緯を明かす長女=10日、神奈川県内

 「86歳だった母は信者に連れられ、教団への念書を作らされた」。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への総額1億2000万円余りの献金被害を訴えている神奈川県内の60代長女はこう明かす。念書は母が「自由意思」に基づき献金した証拠とされ、教団は返還に応じない。教団が過度の献金を戒めたコンプライアンス(法令順守)宣言後の2015年11月に作成され、長女は「教団は金集めが目的で、信者の人権は何とも思っていない」と早期の解散を望む。
 長野県に住んでいた母は04年ごろ、早世した母の妹の供養祭を教団施設で行ったのを機に信仰を深めたという。翌05年に父が心臓を患い入院した直後から、教団への献金を繰り返すようになった。
 「聖本」に2300万円、「家庭公臣」などの称号に2000万円、「天運石」に1300万円―。信者に促され、母は父の証券口座を解約し、所有していた果樹園を売却して資金を捻出した。
 長女は15年8月、帰省した際に献金を知った。6年前に亡くなった父の思い出話をする中で、母から「お金がもうない。みんな寄付してしまった」と打ち明けられた。通帳などを調べたところ、2カ月前にも献金しており、総額は10年間で1億2000万円余りに上っていた。目を疑う高額物品の数々に、「なぜ」とがくぜんとした。
 脱会するよう母を説得していたさなかの同年11月のことだった。母は信者らに公証役場に連れ出され、念書を作成した。「献金は違法・不当な働き掛けによって行ったものではない」「返還請求や損害賠償請求を一切行わない」。母は当時86歳。認知症の兆候があり、半年後にアルツハイマー型認知症と診断された。
 母と長女は17年、教団や信者に損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。しかし一、二審で「念書の作成経緯に不審な点は見受けられない」などと請求を退けられ、上告中だ。「お父さんのお金を献金したのは本当にいけなかった」と口にしていた母は、控訴中の21年に91歳で亡くなった。
 長女は「判断能力の衰えた母につけ込み、念書はお膳立てされた」と語気を強め、「父のお金は持って行かれ、(家族関係など)いろんなものが壊された。教団は解散する他ない」と訴えた。 
[時事通信社]

長野県内の女性が86歳だった2015年、公証役場で作成した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)宛ての念書の写し。「献金は自由意思」「返還請求、損害賠償請求は行わない」と記されている
長野県内の女性が86歳だった2015年、公証役場で作成した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)宛ての念書の写し。「献金は自由意思」「返還請求、損害賠償請求は行わない」と記されている

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