イランや処理水、対立の構図=IAEA事務局長、多難の2期目
【ウィーン時事】ウィーンで25日に開幕した国際原子力機関(IAEA)年次総会で、グロッシ事務局長の再任が正式に決まった。新たな任期は12月から2027年12月まで。東京電力福島第1原発の処理水放出の監視やイラン核開発への対応、ロシア軍が占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発の安全確保など、課題は山積。西側諸国と中国・ロシア・イランが鋭く対立する中、多難な2期目の船出となりそうだ。
「今、皆さんを前にした私の使命感や責任感、倫理観、プロ意識は4年前以上のものだ」。グロッシ氏は再任決定を受けた演説で、19年に事務局長就任が決まった当時と比べても、責務遂行への意欲は高まっていると表明した。
グロッシ氏が訴えるのは、核の安全をつかさどるIAEAの専門性と中立性だ。しかし、現実の国際情勢はIAEAの活動に影を落とし、とりわけ紛争地では、当事者の対立が任務に大きな支障をもたらす。
ザポロジエ原発は、反転攻勢に出ているウクライナ軍の奪還目標の一つだ。「核惨事の回避」を掲げるグロッシ氏は、自らロシアとウクライナの仲介を買って出た。同原発に職員を常駐させるなど安全策を講じてきたが、ウクライナには、ロシアに弱腰だとしてIAEAへの不満もくすぶる。
核開発をエスカレートさせるイランとの協議では、いら立ちを募らせる米欧も納得できる協力をイランから引き出す難しい交渉を担う。今年3月に監視強化で合意したものの、グロッシ氏は現時点では「進展がない」と説明。再び緊張が高まっている。
処理水放出に関しては、日本政府との近さも問われた。「安全基準が適用されている」と強調するIAEAに対し、中国は「加盟国の十分な討論を経ておらず、国際性と独立性に欠ける」とIAEAの監視に疑義を呈した。IAEAの権威が揺らぎかねない事態に、欧米は矢継ぎ早に放出への支持を打ち出した。
[時事通信社]
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