保険金不正、本格調査へ立ち入り=損保ジャパン・ビッグモーターに―金融庁

金融庁は19日、中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)による保険金の不正請求問題で、同社と損害保険ジャパンへの立ち入り検査に乗り出した。両社の緊密な関係や、詳しい取引実態について数カ月かけて明らかにする。同庁は保険契約者を保護する観点で問題があれば、業務改善命令などの行政処分を下す。
検査では損保ジャパンがBMへの顧客紹介を再開した経緯や、BMに送り込んでいた出向者の役割、不正を見逃す温床となった「簡易査定」の実態解明などが焦点。保険代理店としてのBMの経営管理についても調べる。鈴木俊一金融相は同日の閣議後記者会見で、「問題の根本原因を特定すべく深度のある実態調査を進めたい」と述べた。
両社は、損保ジャパンがBM修理工場に事故車を紹介し、その実績に応じてBMが自動車損害賠償責任(自賠責)保険契約を割り当てる「もたれ合い」の関係にあった。他の大手損保も同様だったが、損保ジャパンがBMから得ていた保険料収入は年間100億円規模と突出していた。
BM社員の内部告発で保険金の水増し請求が発覚し、大手損保3社は同社への顧客紹介を取りやめたが、このうち損保ジャパンだけはBMの反発を恐れて再開に動いた。金融庁は、今月8日に辞任を表明した白川儀一社長が「軽率な考えだった」と振り返った一連の経緯の詳細を明らかにする考えだ。
2004年以降に計43人を送り込んだ出向者については、BMの不正をいつから把握し、損保ジャパンがどの程度認識していたか調査する。19年にBMの全整備工場に導入した画像だけで保険金支払額を決める簡易査定も適切だったか実態解明を急ぐ。
損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスの経営責任にも切り込む。桜田謙悟会長は「持ち株会社としての責任はある」としつつ、現時点での辞任の可能性は否定している。親会社によるガバナンス(企業統治)が十分だったか厳しく追及する。
BMには、展示車両で架空の保険契約を結んだ疑いが浮上。代理店登録の取り消しといった処分に踏み切る可能性もあり、身売りを含めてスポンサー選定を進めている同社の経営再建の行方に影響しそうだ。
立ち入りについて、損保ジャパンは「検査に真摯(しんし)に対応するとともに、お客さまの被害回復に努める」、ビッグモーターは「全面的に協力していく」と、それぞれコメントした。
[時事通信社]

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