被災写真、カラーや3Dで=東大教授「備えのきっかけに」―科博で展示へ・関東大震災100年

100年前の関東大震災をより身近に捉え、防災意識を高めてもらおうと、被災写真のカラー化や3D地図上での再現を東京大大学院の渡邉英徳教授(情報デザイン)が進めている。国立科学博物館(東京都台東区)で9月1日から始まる企画展「震災からのあゆみ―未来へつなげる科学技術」で展示する予定で、「次の震災への備えを考えるきっかけにしてほしい」と狙いを話す。
渡邉教授は2016年から戦争や災害関連の写真のカラー化を始め、白黒と比較した写真を毎日X(旧ツイッター)へ投稿している。企画展では科博が所蔵する復興途上の東京・浅草の仲見世や静岡県伊東市の津波被害などの写真10枚をカラー化して展示する。
カラー化ではまず、人工知能(AI)ソフトを使って全体を着色する。ただ、細部は不自然な色合いとなることも多く、手作業での補正を重視する。当時の絵はがきや文献を参考に、人々の服や持ち物、屋根やがれきなどの色を推測し、修正を繰り返す。1枚の補正に2カ月かかることもあるという。
「カラー化することで、過去の出来事でも自分ごとのように感じられる。写真の中に『入っていける』感覚だ」と渡邉教授。「企画展で新たな証言や指摘が得られれば、写真の『解像度』も上がり、震災への理解も深まる」と期待を寄せる。
展示会では、被災の実情をよりリアルに体験してもらう試みも。3D地図上で、被災直後の東京や横浜など約20カ所の空撮写真と現在の街並みを見比べられる映像を大型ディスプレーで上映する予定だ。自分自身のアバター(分身)を操作して、被災写真の中を歩く疑似体験もできる。
渡邉教授は「100年前の写真は、次に起こりうる震災の風景を示唆しているかもしれない。過去を振り返るだけでなく、未来へ備えるきっかけとなる作品を展示したい」と意気込んでいる。
[時事通信社]


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