核抑止からの脱却を=台風で屋内開催、一般参列なし―78回目、長崎原爆の日

長崎は9日、78回目の原爆の日を迎えた。長崎市内の屋内施設では市主催の平和祈念式典が営まれ、犠牲者に祈りをささげた。鈴木史朗市長は平和宣言で、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の核軍縮文書「広島ビジョン」が肯定した核抑止論に反発。「私たちの安全を本当に守るには、地球上から核兵器をなくすしかない」と訴えた。
鈴木市長は、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、核戦力増強の動きが加速するなど「核戦争の危機が一段と高まっている」と指摘。核保有国と核の傘の下にいる国に対し、「核抑止への依存からの脱却を勇気を持って決断すべきだ」と迫った。
日本政府には核兵器禁止条約への署名、批准とともに、平均年齢が85歳を超えた被爆者援護のさらなる充実を求めた。
被爆者代表の工藤武子さん(85)が「平和への誓い」を朗読。両親ときょうだいをがんで失ったといい、「生き残った人々の多くも、さまざまな後遺症に苦しんでいる」と訴えた。
岸田文雄首相はビデオメッセージを寄せ、「『核兵器のない世界』を実現するため、非核三原則を堅持しつつ、たゆまぬ努力を続けていく」と述べた。核兵器禁止条約には言及しなかった。
台風6号の接近に伴い、市は爆心地に近い平和公園での式典を取りやめ、1963年以来となる屋内での開催に変更した。岸田首相や各国駐日大使、一般の参列を見送るなど規模も大幅に縮小。参列者は市議ら42人だった。
式典では、7月末までの1年間に新たに判明した原爆死没者3314人の名簿を奉安。原爆投下時刻の午前11時2分に合わせて鈴木市長らが黙とうし、犠牲者の冥福を祈った。死没者数は19万5607人となった。


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