製造業景況感、7期ぶり改善=生産回復、価格転嫁進む―先行きも上昇・日銀短観

日銀が3日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス5となり、前回3月調査から4ポイント改善した。改善は7四半期ぶり。半導体不足の影響が和らいで自動車の生産が回復し、原材料価格の高騰に伴う値上げが進んで改善につながった。先行きもプラス9と改善を見込む。
大企業非製造業はプラス23と3ポイント上昇した。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行して消費活動が回復したことに加え、インバウンド(訪日客)需要が好調だったことから5期連続の改善。ただ、コスト高の継続や人件費増加への懸念が重しとなり、先行きはプラス20への悪化を見込んでいる。
DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた数値。
大企業製造業では、16業種のうち10業種で景況感が改善した。自動車はプラス5と2021年6月以来2年ぶりにプラスに転換。原材料高の一服と価格転嫁の浸透を背景に、食料品や石油・石炭製品など幅広い業種で業況が上向いた。
大企業非製造業は、12業種のうち7業種で改善した。宿泊・飲食サービスはプラス36で、04年にこの部門の調査を始めて以来の高水準。改善幅も36ポイントと最大だった。対個人サービスや運輸・郵便などのDIも上昇した。
価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」を差し引いた価格判断DIは、輸入物価がマイナスに転じたことなどを背景に、大企業製造業の仕入れ価格が8ポイント下落のプラス52。販売価格も3ポイント下落のプラス34だった。
人手の過不足を示す雇用人員判断DIは、大企業非製造業でマイナス34と、1992年2月調査以来の強い不足感となった。
中小企業でも製造業、非製造業ともに業況判断DIが改善。製造業のDIはマイナス5と2期ぶりに、非製造業はプラス11と5期連続でそれぞれ上昇した。
◇6月日銀短観の主な指標
3月 6月 9月予想
▽業況判断指数
(DI、「良い」―「悪い」)
大企業製造業 1 5 9
大企業非製造業 20 23 20
中小企業製造業 ▲ 6 ▲ 5 ▲ 1
中小企業非製造業 8 11 7
▽販売価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業 37 34 29
大企業非製造業 29 28 25
▽仕入価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業 60 52 44
大企業非製造業 48 44 42
▽雇用人員判断指数
(DI、「過剰」―「不足」)
大企業製造業 ▲14 ▲13 ▲15
大企業非製造業 ▲33 ▲34 ▲34
▽23年度設備投資計画(土地含む、前年度比増減率%)
大企業製造業 5.8 19.3 ―
大企業非製造業 1.6 10.1 ―
▽全規模全産業の23年度想定為替レート(6月)
1ドル=132円43銭
(注)▲はマイナス、―は数値なし
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