「警察人生の転機」=非番で遭遇、制圧の警察官―秋葉原無差別殺傷から15年
日曜日の歩行者天国で起きた秋葉原無差別殺傷事件。非番だった警視庁代々木署地域課の清水真巡査部長(54)は偶然、現場に居合わせた。昨年7月に死刑執行された加藤智大元死刑囚=執行時(39)=が手にした刃物にひるむことなく、別の警察官と2人で制圧、現行犯逮捕した経験を振り返り、「警察人生の転機となった」と語った。
事件当日は所属していた蔵前署地域課での泊まり勤務を終え、帰宅前に秋葉原に立ち寄った。昼食後に店を出ると、数メートル先を走る元死刑囚を目撃した。数十人の群衆の中で、何かを振り回しているのが見えた。
制服姿で追い掛けていた万世橋署の男性警察官が脇道に入り、元死刑囚に銃口を向けたのが視界に入った。「重大な事件だ」とすぐに理解した。
周囲にほかの警察官の姿はなかった。私服で、拳銃も警棒も携行していなかったが、対峙(たいじ)する2人にゆっくりと近づいた。「自分がやられるかもしれない」。緊張が全身を覆ったが、警察官としての使命感がそれに勝った。元死刑囚が刃物を手放した瞬間、とっさに駆け寄り、男性警察官と2人で取り押さえた。「抵抗もなく無表情。『全て終わった』という感じだった」と振り返る。
万世橋署に元死刑囚の身柄を移し、「最初から事件を起こすつもりだったのか」と問うと、「はい」と小さく返事をした。耳にした唯一の肉声だったといい、「あまりに淡々としていた。そこまで落ち着いていられるのかと戦慄(せんりつ)を覚えた」と話す。
「後にも先にも非番中に事件に遭遇したのはあのときだけ」という清水巡査部長。事件後、110番への迅速な対応など、突発事案への対処の意識が高まった。「非番の時もできることはする」。その使命感は15年を経ても色あせていない。
事件の風化を防ぐため、頼まれるたび、部下の警察官や学生に当時の経験を伝えてきた。「15年がたち、事件を知らない若い警察官もいる。これからの警察人生に役に立ててもらえればいいと思う」と語った。
[時事通信社]
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