2023-06-07 18:41

愛知男児殺害、再審認めず=出所男性が異議―名古屋高裁

 愛知県豊川市で2002年7月に起きた1歳男児殺害事件で懲役17年の有罪判決が確定し、服役を終え出所した田辺(旧姓河瀬)雅樹さん(56)の再審請求異議審で、名古屋高裁(田辺三保子裁判長)は7日、再審開始を認めない決定をした。
 田辺裁判長は再審請求を退けた当初の決定について、「判断に不当な点は認められず、新証拠を併せて検討しても結論は揺るがない」と述べた。弁護団は最高裁に特別抗告する方針。
 田辺さんは公判で無罪を主張。目撃証言や物証がなく、捜査段階での自白の信用性が有罪判決の決め手だった。
 一審名古屋地裁は信用性を否定して無罪としたが、二審名古屋高裁は「根幹部分は十分に信用できる」と判断。逆転有罪を言い渡し、08年に最高裁で確定した。
 服役中に再審を請求し、名古屋高裁が19年に棄却。同高裁の別の裁判部が異議申し立てを審理していた。田辺さんは昨年8月に出所した。
 異議審で弁護側は、男児の投棄地点に関する専門家の意見書などを新証拠として提出。「自白内容は潮流などから推定される地点と矛盾する」と主張したが、田辺裁判長は「分析データに高い信頼性を認めることは困難だ」と退けた。
 後藤昌弘弁護団長は記者会見で、「この判断が維持されたら、警察は科学捜査よりも自白獲得に必死になる。容認できない」と憤った。電話で田辺さんに結果を伝えたところ、「非常に残念だ。引き続き闘う」と話したという。
 名古屋高検の坂本佳胤次席検事は「適正、妥当な決定と考えている」との談話を出した。
 確定判決によると02年7月28日未明、豊川市のゲームセンター駐車場で、1人で車の中にいた男児を連れ去り、約4キロ離れた岸壁から海に投げ入れ、殺害した。 
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集