原発の取水ダム爆破、決壊=ウクライナの反転攻勢「妨害」か―ロシアは否定
【ブリュッセル時事】ウクライナからの報道によると、ロシアが一方的に「併合」を宣言した南部ヘルソン州で6日、ドニエプル川に設置されたカホフカ水力発電所のダムが爆破され、決壊した。ロシアが占拠するザポロジエ原発はダムの貯水池から取水しているが、原発への影響は現時点で伝えられていない。
これより先、米紙ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ軍がロシアからの占領地奪還に向けた反転攻勢に着手した可能性が極めて高いとする米当局者の見解を報道。ウクライナのポドリャク大統領府顧問はダム攻撃についてCNNテレビに、ウクライナ軍の攻勢を妨害する目的でロシア軍が実行したと非難した。
ウクライナ政府は国家安全保障・国防会議の緊急会合を開催し、ダムが紛争時の保護対象になると定めたジュネーブ条約に違反するとして、国連安全保障理事会に提起する方針などを確認した。ゼレンスキー大統領は動画で、既に住民の避難は始まっているものの、80の町や村が水に漬かったと述べた。AFP通信が当局者の話として報じたところでは、避難対象者は1万7000人に上るという。
これに対しロシア側の地元当局者は国営タス通信に、ウクライナ軍による攻撃が原因だと主張し、関与を否定した。ロシア連邦捜査委員会は、決壊を受けて捜査開始を発表した。被害状況などについても明らかにする方針だという。
ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムは通信アプリで、原発は「制御下にある」と説明。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は定例理事会で、「原発の安全に差し迫った危険はない」との見方を示した。ダムの水位は低下しているものの、水のくみ上げは可能で、他にも多くの代替水源があるという。ダムは1956年に建設され、高さは30メートルに上るとされる。
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