ミサイル迎撃能力最大級に=発射装置3割増、新型イージス―三菱重工、JMUと設計契約・防衛省
防衛省がミサイル防衛の要として位置付け、新たに建造するイージス・システム搭載艦が、迎撃ミサイルなどを収納、発射する垂直ミサイル発射装置(VLS)の数を大幅に増やし、海上自衛隊のイージス艦では迎撃能力が最大級となることが1日、同省関係者への取材で分かった。VLSは計128発分の発射能力を備え、既存イージス艦の3割以上増える。
防衛省によると、同省は4月、船体や動力、武器取り付けに関する設計の基礎資料作成と、1番艦の詳細設計を三菱重工業と契約(契約額約17億円)。船体の静粛性やステルス性能などの評価に関する設計基礎資料作成と、2番艦の詳細設計はジャパンマリンユナイテッド(JMU)と5月に契約(同約7億円)した。
同省はイージス・システム搭載艦について「数千キロの高度まで打ち上げられる北朝鮮の弾道ミサイルや、同時複数発射に対応するためには、既存のイージス艦よりもはるかに高い迎撃能力が必要」としている。
探知レーダーやVLSは、秋田、山口両県への配備を断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」用に取得したものを転用するが、VLSはそれだけでは足りないため、追加調達する。
搭載するミサイルは、日米共同開発で、従来型より2倍の高度1000キロ超でも迎撃可能とされるSM3ブロック2Aや、極超音速滑空兵器などを撃ち落とすSM6など。同省が反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有するために取得する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の搭載は現計画に含まれないが、政府筋は「VLSからトマホークを撃てるよう指揮システムを船体に追加できる拡張性はある」と話す。
防衛省は2027年度に1番艦、28年度に2番艦を就役させる。今年度は設計費や、対潜水艦戦システムなどの装備品調達費として計2208億円の予算を計上。今後さらに建造費がかかる。
[時事通信社]
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