2023-05-31 00:16TOPICS

北朝鮮、6月に偵察衛星打ち上げ=31日から予告期間―「軍事態勢強化」狙う

北朝鮮の非常設衛星発射準備委員会の作業を指導する金正恩朝鮮労働党総書記(中央)=16日、朝鮮中央通信が公開(EPA時事)
北朝鮮の非常設衛星発射準備委員会の作業を指導する金正恩朝鮮労働党総書記(中央)=16日、朝鮮中央通信が公開(EPA時事)

 【ソウル時事】北朝鮮が「人工衛星」打ち上げと称する弾道ミサイルの発射予告期間が31日に始まった。日本政府が通告を受けた期間は6月11日午前0時までで、朝鮮労働党中央軍事委員会の李炳哲副委員長は「軍事偵察衛星1号機」を6月に打ち上げると表明。日本政府は自衛隊に破壊措置命令を出し、日本の領域に落下する恐れがある場合は迎撃する態勢を取っている。
 北朝鮮は29日、日本政府に対し、31日午前0時~6月11日午前0時の間に「人工衛星」を打ち上げると通告した。国際海事機関(IMO、本部ロンドン)にも同じ内容を通報した。事実上の弾道ミサイル発射で、国連安全保障理事会決議の違反となる。
 30日の朝鮮中央通信によれば、李氏は29日に「自衛力強化に関する立場」と題する声明を出し、偵察衛星1号機を「6月に間もなく打ち上げる」と発表。「米国や追従勢力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡、監視、判別」し、北朝鮮の「軍事的な準備態勢を強化するのに不可欠だ」と主張した。
 北朝鮮が偵察衛星を実用化できれば、米韓の動きを察知する「目」を持つことになる。金正恩朝鮮労働党総書記は4月、「先制的に軍事力を行使するための国防力強化」につながると、偵察衛星の意義を強調した。
 ただ、衛星の軌道投入に成功したとしても、その性能には懐疑的な見方が大半だ。韓国の梁茂進・北韓大学院大教授は「(衛星画像の)解像度は1~3メートル程度と予想され、技術的な補完が必要だ」と指摘する。
 偵察衛星の運用は、2021年1月の党大会で決定された国防力発展の5カ年計画に盛り込まれた。北朝鮮は、今年4月までに初の偵察衛星の準備を終えると予告していた。
 発射場所の可能性がある北西部・東倉里の「西海衛星発射場」では最近、打ち上げ準備とみられる動きが活発化。米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は30日、同発射場の発射台2カ所で、ロケットを設置する装置が発射台の近くに移動したと報じた。 

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