2023-05-28 16:53社会

国内初レベル4、運行開始=7人乗りカートが自動運転―過疎地の移動手段に期待・福井

福井県のレベル4自動運転移動サービスの運行区間
福井県のレベル4自動運転移動サービスの運行区間

 特定の条件下で無人の自動運転を可能とする「レベル4」が国内で初めて認可された福井県永平寺町で28日、無人電動カートによる移動サービスの営業運行が始まった。人口減少が進む地域での新たな交通手段として期待される。
 運行が始まったのは、町内の遊歩道のうち約2キロの区間で、産業技術総合研究所などが開発した7人乗りの電動カートが走行する。車内に運行従事者はおらず、遠隔監視を行う1人の主任者が最大3台の車両を管理する。
 乗車した川松和美さん(57)=兵庫県宝塚市=は「乗り心地は良く、人と擦れ違う時もしっかり減速した。住宅地などで走行が可能になったら、また乗ってみたい」と語った。
 永平寺町では2018年から実証実験が行われ、21年には緊急時に人が操作を引き継ぐレベル3での運行サービスが開始された。レベル4の運行は、国土交通省が今年3月、同町の使用する車両を認可し、4月施行の改正道交法で公道走行が解禁。今月11日、同町が運行を委託する第三セクターのZENコネクト(福井県永平寺町)が道交法に基づく運行許可を取得していた。 
 自動運転は、ドライバー不足や過疎化を背景に公共交通機関の減少が進む地域で、高齢者らの移動手段として期待されている。同町の担当者は「今後も自動運転に適した道路環境や住民のニーズがそろう地域があれば、導入を検討する」と話す。
 ただ、自動運転の普及には「混雑する交通環境でも安全に走れる技術の確立や、自動運転車両が走りやすい環境の整備、不安を持つ住民に安全性を適切に伝えることが課題」(国交省担当者)という。政府は25年までに、無人自動運転の移動サービスの国内約50カ所への拡大を目指す。

最新動画

最新ニュース

写真特集