中国、ASEANへの投資拡大=高まる影響力に警戒感も

中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)への投資を拡大している。直接投資額は10年間で3倍超と、世界全体への投資額の伸びを大きく上回った。ASEANでは歓迎の声が聞かれる一方、中国の影響力の高まりに警戒感もくすぶっている。
中国国境に接したラオス北部のボーテン。今年4月に現地を訪れると、赤茶けた大地に高層ビルの建設が進んでいた。地元住民によると、中国とつながる高速鉄道の工事が本格化した2020年ごろから中国の建設企業の存在が目立ち始めた。スーパーには中国製品が並び、価格表示は人民元。店員は流ちょうな中国語で「発展は中国のおかげ。感謝している」と話した。22年の両国の貿易額は前年比31%増加した。
中国は13年に習近平国家主席が巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱して以降、ASEANを含む対象地域への投資を加速させた。中国とラオスを結ぶ高速鉄道は今年4月に全面開業。中国メディアによれば、利用状況は好調で、今月1日の労働節(メーデー)を挟んだ連休中には1日当たりの利用者数が過去最多を記録した。ラオス産農産物の対中輸出拡大も見込まれている。
もっとも、中国の投資に対する受け止め方はASEAN域内でもさまざまだ。ベトナムでは22年9月に首都ハノイから中国国境のモンカイに向かう高速道路が全面開通した。新たに整備された区間は約80キロで、建設費は44兆ドン(約2600億円)。中国が融資を申し入れたものの、ベトナム側は断ったとされる。
モンカイでは中国語の表記がほぼ見当たらなかったのに対し、国境を越えた中国の東興ではベトナム語の看板を多く目にした。中越の貿易額も年々増えており、ベトナムにとって中国は今や最大の貿易相手国。一方でかつて戦火を交えた経緯もあり、「中国への過度な依存は避けたい」(ベトナム共産党関係者)のが本音だ。
対中依存の高まりに対する懸念はラオスなどでも根強い。ただ、ラオスの高速鉄道建設事業では、中国以外の国は興味を示さなかったとされる。ラオスの貿易事業者は「本当は日本やタイにもっと関与してほしい」と話した。 (東興=中国広西チワン族自治区=時事)
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