2023-05-25 19:21World eye

ロシア企業、湾岸マネーに熱視線 会合で投資呼び掛け

【アブダビ(アラブ首長国連邦)AFP=時事】ウクライナ侵攻で西側による制裁や外国企業の撤退に直面するロシアは、ペルシャ湾岸産油国の投資家に自国への投資を呼び掛けている。≪写真はアブダビで開催された投資関連会合に出席するロシアのマクシム・レシェトニコフ経済発展相<中央>≫
 アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビでこのほど開催された年次投資会合では、ロシア政府が投資の好機だと訴え、ロシア企業は湾岸マネーを取り込もうと特設パビリオンに出展した。
 ロシア経済発展省のパベル・カルミチェク氏は「アラブをはじめ、あらゆる投資家を呼び込むためにやって来た」と述べた。
 ウクライナ侵攻をめぐり、西側諸国にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が孤立したように映っているが、サウジアラビアとUAEは中立的な立場を保ってきた。
 ロシアの富裕層は西側による制裁の影響を回避するため、UAEに殺到してビジネスを展開。不動産購入ではロシア人が最大の顧客になっている。
 会合で演説したマクシム・レシェトニコフ経済発展相は、中東・北アフリカとの協力は「ロシアの外交・経済政策の優先課題の一つだ」と述べた上で、「共同プロジェクトを始める時だ」と訴えた。
 さらに湾岸諸国の「独立した外交政策」を評価するとともに、「ロシアにとって信頼できるパートナーだ」と称賛。貿易を促進するため、制裁の影響を回避できる「独立した金融・銀行システム」の創設を呼び掛けた。
 デニス・マントゥロフ副首相によると、ロシアとUAEの昨年の貿易額は前年比68%増の90億ドル(約1兆2000億円)に達した。
 ■「競争優位性」
 ロシア代表団は会合で、西側の制裁にもかかわらずモスクワは依然、世界最大級の都市経済圏であり、主要な投資先だとアピールした。
 モスクワ市外交経済局長のセルゲイ・チェレミン氏は投資家に向けた演説で、「制裁下の困難な時期にあるが、モスクワにはいくつもの競争優位性がある。ロシア市場に参入するための入り口だ」と述べた。
 またロシアのパビリオンでは起業家のマクシム・アニスモフ氏が、ロシアで設計・製造された3D印刷技術を披露した。アニスモフ氏はAFPに対し、「発展中のこの地域には多くのビジネスチャンスが存在する」と語った。
 UAEのエンジニア、アドナン・ニムル・ザルーニ氏は、パビリオンでの展示を見た後、ロシア企業への投資を検討する考えを示し、「多くの素晴らしいチャンスがある。鉱業や畜産、エネルギー、農業、技術力に富み、高度な技能を持ったプログラマーも存在する」と評価した。
 コンサルティング会社ハリージエコノミクスの幹部ジャスティン・アレクサンダー氏によると、湾岸地域の政府系ファンドは過去10年間、ロシアへの投資を拡大してきた。ただ、「これらの投資は西側に比べて小規模にとどまっている」という。
 ■侵攻のコスト
 国際通貨基金は4月、ロシア経済の見通しについて、昨年と今年上半期のエネルギー高が「大きな財源」になったとして、2023年の成長予測を引き上げた。ただし、ウクライナ侵攻は中期的には大きく影響してくるとし、ロシア経済は侵攻開始前の予測よりも約7%縮小するとみている。
 サンクトペテルブルク国際経済フォーラムを主催するロスコングレス財団の取締役会長であるアレクサンダー・ストゥグレフ氏は、「ロシア経済は困難な状況下でも強靭(きょうじん)さと成長力があることを示している」と語った。
 さらにウクライナ侵攻の影響で、西側の制裁や大手外国企業のロシア事業撤退が相次いでいるが、「ロシアは(ビジネスに対して)大きく開かれている」と強調した。
 しかし、湾岸地域の専門家であるロバート・メイソン氏は、アラブの投資家はロシアの特定の部門については支援するかもしれないが、その影響は限定的との見方を示した。「構造的には、現時点において(湾岸諸国の投資が)形勢を一変させるものにはならないだろう」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】

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