政権と野党、溝深く=税収増か歳出減か―米債務上限問題
【ワシントン時事】米連邦政府の債務上限引き上げを巡るバイデン大統領と野党共和党のマッカーシー下院議長の会談は22日、再び物別れに終わった。双方とも協議は「生産的だった」と評価したが、富裕層からの税収増を目指すバイデン政権と、歳出削減を主張する共和党との溝は深い。
「進展はない」。マッカーシー氏は会談後の記者会見で、政権と共和党の対立点について重点的に話し合ったと明かした。だが交渉は依然、難航していると認めた。
社会保障費が増え、債務負担が膨らみ続けると見込まれる中で、バイデン氏は「われわれは(財政)赤字を減らす必要があるとの見解で一致している」と説明。財政健全化に取り組む必要性については双方に異論はない。
しかし、対立が先鋭化しているのは具体的な進め方だ。バイデン氏は富裕層や大企業に「適正な負担」を求め、課税強化を訴える。これに対し、共和党は「問題は支出だ」(マッカーシー氏)と、歳出削減に切り込む姿勢を譲らない。
イエレン財務長官は22日、議会が速やかに債務上限を引き上げる法案を通さなければ、6月1日にも政府の支払いが滞る「可能性が高い」と、警告をさらに強めた。米国が史上初のデフォルト(債務不履行)に陥れば、金融市場が混乱し、世界経済が打撃を受けるのは不可避だ。
政権とマッカーシー氏が合意できたとしても、共和党右派は歳出削減を強硬に主張しているだけに、期限までに法案を通せるか見通せない。デフォルトの期限が迫る中、共和党側は「ホワイトハウスは切迫感を持つべきだ」と政権に一段の譲歩を突き付けており、落としどころは見えない。
[時事通信社]
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