ロシアの労働力不足 ウクライナ侵攻で悪化
ロシアによるウクライナ侵攻は、ウラジーミル・プーチン大統領の長年の懸案事項である少子高齢化を加速させた。侵攻により西側諸国から制裁を科され悪化した経済が、さらに停滞する可能性もある。≪写真はウラン・ウデの航空機工場を訪問しスタッフらと会談するウラジーミル・プーチン大統領〈資料写真〉≫
低出生率が何年も続き、労働力の減少に直面していたロシアにとって、ウクライナ侵攻は状況の悪化と、長期間にわたりその影響が残り得ることを意味する。
動員により、男性数十万人が労働市場から消えた。さらに、高学歴者の多くは国外に脱出した。
ロシア連邦統計局の元職員で人口統計学者のアレクセイ・ラクシャ氏はAFPに対し、ロシアは以前から労働力不足に陥っていたが、「動員と大量出国でさらに悪化した」と指摘した。
ロシアでは1990年代のソ連崩壊後、経済難や将来への不安などから出生率が半減し、今も回復していない。
プーチン大統領は少子化対策として、第2子以降を対象に一時金給付などを導入してきた。
■新型コロナで打撃
ロシア当局はウクライナでの戦死者数について、昨年9月に国防省が5937人と発表して以降、更新していない。
西側は、ウクライナ、ロシア両国の死傷者はそれぞれ15万人に上ると推計している。
モスクワ国立大学のナタリア・ズバレビッチ氏は「軍事作戦による正確な死者数は分からないが、30万人が動員され、若い労働力がさらに減った」と指摘した。
さらに、新型コロナウイルスによって約40万人が死亡したと公式統計ではされているが、実際の死者数はこれを大幅に上回るとみられる。
労働力が減少していることを考えると、3.5%という失業率は良いとはいえない。人手がおらず、さまざまな業種で人材不足が起きていることを示している。
ロシア中央銀行が先月19日に公表した統計から、「急激な」人手不足が起きており、特に加工業や輸送業、水道業などで顕著であることが明らかになった。
■人は戻ってくるか?
高等経済学院は先月、ロシアが人口減少を回避するには、21世紀末まで、毎年39万人から110万人の移民を受け入れる必要があるとの研究結果を発表した。
だが一部の業種では労働力を補えず、特にIT関係など高いレベルの教育を必要とする仕事では人材不足が続くという。
人口統計学者のラクシャ氏によると、侵攻後の昨年2月から3月にかけて、男性約10万人を含む15万人がロシアを離れた。9月の部分的動員発表を受け、さらに約50万人が出国したと推定されるという。
最近では、動員回避者に経済的な制限を課す法律が施行された。これにより出国者の外国永住がさらに後押しされる可能性もある。
だが、ズバレビッチ氏は出国者の60%以上がリモートでロシア企業の仕事を続けていると指摘。「一部は戻ってくる」との見方を示した。【翻訳編集AFPBBNews】
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