ナチス関連の宝飾品コレクション、競売実施 ユダヤ人団体から批判
【ジュネーブAFP=時事】ナチス・ドイツ時代に富を築いたドイツ人実業家の妻だったオーストリア人の富豪、故ハイディ・ホルテン氏の宝飾品コレクションの競売が10日に行われ、計1億5500万ドル(約210億円)以上の値が付いた。競売をめぐっては、ユダヤ人団体から批判が出ている。≪写真はオーストリア人の富豪、故ハイディ・ホルテン氏の宝飾品コレクションの一部。競売大手クリスティーズ提供≫
スイス・ジュネーブで実施された競売には、コレクションのうち約100点が出品された。目玉だったものの一部は予想価格を下回った。
コレクション全体は「カルティエ」「ブルガリ」「ヴァンクリーフ&アーペル」などの宝飾品700点で構成されている。開催者の競売大手クリスティーズは年内にオンラインおよび対面式オークションでの販売を目指している。
米経済誌フォーブスによると、昨年81歳で亡くなったホルテン氏の総資産は29億ドル(約3900億円)。
ホルテン財団に委託された歴史家らが昨年発表した報告書によると、同氏の夫で1987年にスイスで死去したヘルムート・ホルテン氏は、除名されたナチス党員だった。
夫のホルテン氏はアドルフ・ヒトラーの政権掌握から3年後の1936年、ドイツ西部デュイスブルクでユダヤ人オーナーが逃げた後の繊維会社を買収。その他にも戦前にユダヤ人が所有していた店舗などを取得していた。
今回のオークションに対し、各地のユダヤ人団体からはクリスティーズに中止を求める声が上がっている。
ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は先週、ナチス時代の取得品との関連について完全に調査が終わるまで、クリスティーズは「競売を中止すべきだ」と非難する声明を出した。
また、米ユダヤ人委員会は「富のうちどの部分がナチスの犠牲者のものだったのか誠実に解明する努力がなされるまで、オークションは保留すべきだ」と批判している。
だが、クリスティーズは、売り上げは児童保護や福祉、医学研究、芸術などのための慈善事業に使われると説明。さらに「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)」の研究と啓発活動を推進する団体に寄付すると強調している。【翻訳編集AFPBBNews】
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