背景にプーチン政権批判=拘束の米記者、内幕を報道
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)モスクワ支局の記者が30日、ロシア連邦保安局(FSB)に拘束された。「(軍事情報の)スパイ活動を行った疑い」が掛けられ、対米けん制の思惑が透けるが、背景には不明な点も多い。ロシアによるウクライナ侵攻の中、プーチン政権に批判的な記事を書いて「虎の尾を踏んだ」可能性もある。
「不都合な真実を隠している」。拘束された米国籍のエバン・ゲルシコビッチ記者らは昨年12月の記事で、プーチン大統領への日々の戦況報告がねじ曲げられているという内幕を伝えた。
ロシア軍の「戦果」ばかりが誇張され、劣勢の説明は二の次。FSBやプーチン氏最側近のパトルシェフ安全保障会議書記らが戦況報告の「検閲」を行っているのが原因として、政権の問題点をWSJは指摘した。
ザハロワ外務省情報局長は30日、記者が問われた容疑は「取材活動とは無関係」と述べ、メディア弾圧に当たらないとの立場を強調した。ただ、昨年2月の侵攻開始後、外国人記者が「スパイ事件」で摘発されるのは初めてとみられ、内外での衝撃は大きい。
ゲルシコビッチ氏は仮に有罪となれば、最長20年の禁錮刑が言い渡されるとみられる。報道を厳しく規制するロシアでも、記者が重罪に問われるのは珍しい。昨年9月にロシア有力紙コメルサントのイワン・サフロノフ元記者が、軍事情報を巡る国家反逆罪で禁錮22年の判決を受け、収監された例が知られる。
両記者は米ロの国籍の違いこそあれ「エース級記者」として、政権の内情を伝えていたという共通点がある。厳罰を科すため、当局があえて重罪の「スパイ」や「国家反逆」の容疑で訴追した可能性も否定できない。
サフロノフ氏らはコメルサント在籍中の2019年、マトビエンコ上院議長の辞任があり得るという記事を執筆。報道に激怒したマトビエンコ氏が同紙に圧力をかけたとされ、政治部記者が抗議して一斉退職する騒動になった。
[時事通信社]
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