被害者の心情、受刑者に伝達=担当官設置、更生へ活用―法務省
法務省は28日、刑務所や少年院などの担当者が犯罪被害者や遺族から心情を聞き取り、罪を犯した加害者本人に伝達する制度の運用方針を公表した。新設する「被害者担当官」(仮称)が聴取書面を作成し、読み聞かせる。被害者側の心理的苦痛を踏まえた処遇や教育につなげ、加害者の更生を促すのが狙い。
方針では、刑務所の刑務官や少年院の法務教官を、被害者担当官として事前に指定。被害者側の申し出に応じ、全国の矯正管区や矯正施設で複数回に分けて聞き取りを行う。
担当官は被害者側の確認を得ながら聴取書面を作成。それを速やかに、受刑者や少年院入所者に読み聞かせる形で伝える。被害者への逆恨みの恐れがあるなどやむを得ない場合は、伝達を控えることもある。
被害者側が希望すれば、伝達後の受刑者・入所者の反応を書面で通知する。内容は、被害者側の心理状況や時期などを踏まえて慎重に検討。被害者側にとって望ましい反応がない場合、その点を明かした上で、それでも通知を希望するかどうか確認する。
これまで仮釈放の可否を決める段階で犯罪被害者の心情を伝える制度はあったが、「それでは遅い」との指摘が寄せられていた。刑務所や少年院に入所中でも伝達を可能にするよう関連法が昨年改正されたことを受け、法務省が検討会を設置。被害者や遺族の意見を参考に、制度の具体化を進めた。
[時事通信社]
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