放送法文書、高市氏逃げ切りか=野党に手詰まり感
放送法の政治的公平性の解釈見直し問題で、総務省文書の記述が正しければ閣僚・衆院議員を辞すると明言した高市早苗経済安全保障担当相は逃げ切れそうだとの見方が与党内で出ている。2023年度予算案が28日に成立すれば、野党による追及の機会が激減するからだ。野党が本丸と位置付ける新解釈の是非に関する議論もうやむやのままだ。
「高市氏を罷免する理由はない」。岸田文雄首相は27日の参院本会議でこう言い切った。
総務省文書には「番組全体を見て判断する」と従来解釈されてきた政治的公平性を一つの番組でも判断できるようにするため、安倍政権当時の礒崎陽輔首相補佐官が総務省に解釈見直しを働き掛けたと記されている。しかし、当時総務相だった高市氏が「大臣レク」の記録などを「捏造(ねつぞう)」と断言したことから、文書の正確性が焦点になった。
レクの記録を巡り、担当した職員3人は「捏造の認識はない」「概要として間違っていない」と総務省の調査に語っている。立憲民主党の石橋通宏氏は27日の参院予算委員会でこの証言を突き付け、捏造発言の撤回を迫った。高市氏は「レクがあったとは思わない」との当時の大臣室スタッフの証言の存在を指摘し、「文書は差し込まれた」と改めて主張。「公訴時効は過ぎている」と職員による文書偽造までほのめかした。
石橋氏は「首相の責任で発言撤回を」と再三求めたが、首相は「(職員間で)認識の一致しない部分があるというのが結論だ」と応じなかった。
首相が強気の姿勢を崩さないのは、内閣支持率の下落に歯止めがかかり、「高市氏の問題は響かない」(岸田派幹部)とみているためだ。予算案が28日に成立すれば、追及の舞台となってきた予算委が当面開かれなくなるとの計算もある。
自民党幹部は「首相は高市氏を辞めさせないだろう」と指摘し、立民内からも「高市氏辞任は難しい」(幹部)との声が漏れる。自民党の世耕弘成参院幹事長は27日の党会合で「いわれのない非難を受けている高市氏を全力でサポートしたい」と強調した。
立民は政治的公平性の新解釈の撤回を目指したが、予算委で議論が深まったとは言い難い。立民内では高市氏の問責決議案を提出する案も検討されたが、「幕引きに利用される」(幹部)との慎重論が出て見送られる方向だ。立民内には手詰まり感が漂っている。
[時事通信社]
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