2023-03-23 18:43経済

採用「増やす」3割超=経済回復、人材奪い合い―時事通信が主要100社調査

24年春の採用計画と中長期見通し
24年春の採用計画と中長期見通し

 時事通信が主要100社を対象に行った2024年春の新卒採用計画に関する調査結果が23日、まとまった。23年春と比べて採用人数を「増やす」と回答した企業は、前年より3社多い36社となり、2年連続で3割を超えた。新型コロナウイルス禍からの経済活動の回復に伴い採用を積極化する姿勢が目立ち、人材の奪い合いとなっている。少子化やIT人材の不足に懸念を強める企業も多い。
 「増やす」と答えた36社のうち、東芝は「パワー半導体などへの人材投入の必要性を踏まえた」として、今春採用予定者の4割増となる610人を採用する計画だ。富士フイルムホールディングス(HD)も「IT系人材強化」を理由に、2割増の1000人の確保を目指す。
 航空需要の回復が見込まれる中、日本航空や全日本空輸は採用人数を倍増。外食最大手のゼンショーHDも8割増の採用を計画する。
 前年9社だった「減らす」は4社に減少。このうちイオンは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)化の進行で必要人員が減少した」として、約3000人から約2700人に減らす。44社は「変わらない」、16社は「検討中」などとして無回答だった。
 中長期的な採用環境については約半数の48社が「厳しくなる」と回答。「少子化で優秀な人材の確保が難しくなる」(川崎重工業)といった懸念に加え、「IT人材の獲得競争が激化」(京セラ)、「理系人材のニーズ増」(NEC)など、専門性の高い人材の採用が困難になるとみる企業が多い。
 また、就職活動の早期化や多様化に対し、「採用人数の管理が難しくなった」(三越伊勢丹HD)などと対応に苦慮する企業も複数あった。
 リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長は、「コロナ禍で表面化しづらかった労働力不足の問題が顕在化している」と指摘。特に、DXなどを担う専門人材については、中途採用による確保も難しくなっており、「新卒で採用した人を育てる動きが加速している」と分析している。
 調査は2月中旬以降、記名式のアンケートを100社に送付し、3月中旬までに回答を得た。 

 

 ◇24年春の新卒採用数を増やす主な企業
     社 名          24年春採用計画   23年春採用予定
みずほフィナンシャルグループ        940人       741人
日本生命保険                800人       647人
第一生命保険                460人       278人
ゼンショーホールディングス(HD)     360人       194人
セブン&アイHD              690人       547人
サントリーHD               200人       157人
サイバーエージェント            393人       322人
JR西日本                 840人       449人
日本航空                  550人       270人
全日本空輸                 125人        59人
ヤマト運輸                 430人       333人
清水建設                  385人程度     332人
大成建設                  383人       318人
パナソニックHD            約1400人     約1100人
富士フイルムHD             1000人       853人
東芝                    610人       430人
三菱重工業                 540人       370人
JFEスチール               375人       320人
キヤノン                  300人       218人
花王                    121人        95人
(注)時事通信調べ。みずほフィナンシャルグループはみずほ銀行などを含む計5社、パナソニックHDはパナソニックなどを含む計9社、東芝は東芝エネルギーシステムズなどを含む計5社の合計。全日本空輸は総合職のみ、日本航空は客室乗務員やパイロットも含む人数。セブン&アイHD、サントリーHD、ゼンショーHD、富士フイルムHDはグループベース

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