預金不安で異例の「全額保護」=保険対象拡大には反対論も―米金融当局
【ニューヨーク時事】中堅銀行の破綻が相次いだ米国で、信用不安を背景に預金保護の強化を求める声が上がっている。シリコンバレー銀行など破綻した2行の預金については全額保護が図られたが、こうした措置は本来なら「異例」。預金保険の保護対象を拡大する案も浮上する中、銀行経営の規律が緩むと反対論も根強く、米金融当局は困難なかじ取りを迫られている。
イエレン米財務長官は21日の講演で、取り付け騒ぎを収めるには「預金の全額保護措置が妥当」と明言。「他行にも適用し得る」と述べ、不安の沈静化に努めた。預金保険の保護対象は1口座当たり25万ドル(約3300万円)が本来の上限だが、2行の破綻では上限を超えて全額が保護されることになった。
しかし、不安は他行にも波及した。保護上限を超える大口預金の割合が多い銀行を中心に預金流出が拡大し、「流出がさらなる信用不安を招く負のループ」(米銀行担当アナリスト)が危惧された。イエレン氏は当初、全額保護は「連鎖破綻リスクをもたらすと判断される場合のみ」としていたが、21日の講演では預金保護に積極姿勢を示すことで事態の沈静化を図ったようだ。
米ブルームバーグ通信によると、米財務省は、預金保険の上限を危機時に一時的に撤廃する法的枠組みを研究中という。米議会では民主党左派のウォーレン上院議員が、保護上限の引き上げを「目の前にある選択肢の一つで、やり遂げるべき仕事だ」と主張。200万~1000万ドルを具体的な上限額として挙げた。
一方、共和党右派グループは、預金全額保護に関し、銀行が過剰なリスクを取りやすくなり「将来の無責任な行動を助長する危険な前例になる」と強く批判。緊急措置として取られた預金の全額保護だが、金融当局は「副作用」にも配慮した判断が求められている。
[時事通信社]
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