2023-03-22 20:36政治/写真

追加物価対策、2兆円超=低所得世帯に3万円給付、地方へLPガスも支援―政府

政府の追加物価対策
政府の追加物価対策

 政府は22日、低所得世帯への3万円給付を柱とする追加の物価高騰対策を決定した。LPガス(プロパンガス)の負担軽減など、地方を念頭に置いたエネルギー対策も盛り込んだ。財源には2022年度予算の予備費を活用し、新型コロナウイルス対策と合わせて2兆円超を支出する方針だ。ただ、4月に統一地方選を控える中での大規模な追加給付は「選挙対策」との批判も招きかねない。
 首相官邸で開いた「物価・賃金・生活総合対策本部」(本部長・岸田文雄首相)の会合で決定した。ウクライナの首都キーウ(キエフ)などを訪問した岸田首相は欠席した。月内に予備費の支出を閣議決定する。
 対策では、地方自治体が地域の実情に応じて使える「地方創生臨時交付金」に1兆2000億円を積み増す。このうち5000億円で「低所得世帯支援枠」を新設し、住民税非課税世帯1世帯当たり3万円を目安に給付する。 
 残りの7000億円はLPガスや、電力使用の多い法人向け「特別高圧電力」の負担軽減策などを自治体に促す。政府は既に家庭向けの電気料金や都市ガス料金などの支援を実施しているが、新たに地方を中心とする約2200万世帯のLPガス利用者や、鋳物業など電力使用の多い中小企業の負担軽減を図る。
 このほか、児童扶養手当を受給するひとり親世帯や住民税非課税の子育て世帯を対象に、子ども1人当たり5万円を支給する。食料品の高騰対策では、輸入小麦の政府売り渡し価格について今年4~9月期も上昇幅を抑制する激変緩和策を実施。酪農や養鶏など畜産農家の負担軽減に向け、配合飼料価格の抑制策も拡充する。
 また、電気料金に上乗せされる「再生可能エネルギー賦課金」については、年度ごとの単価見直しにより4月分から一般家庭(1カ月400キロワット時使用)で月平均800円の負担軽減になる見通しだ。
 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「LPガスなど昨年の総合経済対策で不十分だった部分を手当てしている印象だ」と指摘。ただ、「エネルギー対策や給付など統一地方選を意識しているところもあるのではないか」との見方を示した。

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