クレディ・スイス救済、火種残る=「劣後債無価値」に警戒強く
【ニューヨーク時事】経営危機に陥ったスイス金融大手クレディ・スイスが同業のUBSに救済買収されたことで、週明け20日の欧米金融市場は一定の落ち着きを取り戻した。だが、クレディ・スイスが発行した劣後債の一種「AT1債」が無価値となる措置が波紋を広げ、投資家は同種の債券を発行する欧州の大手行を警戒。市場では依然、混乱が再燃する火種が残っている。
20日の欧米市場では主要株価が上昇した。一方でAT1債は売られて金利が跳ね上がり、UBSは約27%、ドイツ銀行は約26%となった。市場では「混乱は終わっていない」(オランダ保険大手ING)との見方が根強い。
AT1債は発行した銀行の財務が悪化した場合、普通株に転換されるなどして資本増強に充てられる。2008年の金融危機後、銀行破綻では投資家も損失を負担すべきだとの考え方から導入された。高い利回りが人気を集め、年金基金や保険会社など幅広い投資家が保有。欧州の金融機関を中心に発行残高は約2540億ドル(約33兆円)に上るという。
クレディ・スイス救済を主導したスイス政府は、UBSへの政府保証など支援策を提供するのと引き換えに、クレディ・スイスのAT1債160億スイスフラン(約2兆3000億円)の元本をゼロにすることで投資家負担を明確化した。ロイター通信によると、一部を保有していた米資産運用大手ピムコは3億4000万ドルの損失を被った。
格付け大手S&Pグローバル・レーティングは、金融機関が発行する債券が敬遠され、「銀行の資金調達コストが上昇する恐れがある」と指摘する。世界的な金利上昇も資金調達の逆風となる中、融資が減ることなどを通じ、経済への悪影響が広がるとの懸念が強まっている。
[時事通信社]
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