岸田首相、「グローバルサウス」前面に=G7へ不満、拡大懸念
【ニューデリー時事】岸田文雄首相は今回のインド訪問で、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国重視の姿勢をアピールした。議長を務める5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の成功に向け、こうした国々の支持や理解が欠かせないとの判断からだ。ただ、世界的なインフレ長期化などで西側諸国への不満も根強く、政府内には「しっかり声をくみ取らないと、G7が孤立してしまう」(外務省幹部)との懸念がくすぶる。
「広島サミットで、グローバルサウスと呼ばれる国々との関係の強化について取り上げたい」。岸田氏は20日、インドのモディ首相との会談で、途上国側が優先する課題について意見を聞いた。
日印首脳は、毎年交互に相手国を訪問する「シャトル外交」を続けており、今年はモディ氏が来日する番だった。インドは今年の20カ国・地域(G20)議長国で、日本はサミットに先立つ首脳間の「腹合わせ」を期待。しかし、モディ氏は地方選の対応などで来日のめどが立たず、昨年に続き岸田氏が訪印した。
林芳正外相は、国会日程を理由にインドで今月開催されたG20外相会合を欠席。国内外から疑問の声も上がった。岸田氏による2年連続の訪印は、これを埋め合わせる意味合いもあるとみられる。
ロシアのウクライナ侵攻を巡り、G7はロシア制裁やウクライナ支援で足並みをそろえる。一方、食料・エネルギー不足に悩む新興・途上国はこれを冷めた目で見つめる。
外務省関係者は「『西側はウクライナばかり』と思われている」と指摘。小麦価格の高騰を欧米の責任と主張するロシアへの同調も目立つという。
新興・途上国側は、大国間の対立と距離を置く「バランス外交」の傾向が強い。双方から経済援助を受けるなど利害関係も複雑だ。インドも、日本、米国、オーストラリアと4カ国枠組み「クアッド」で連携する一方、中国、ロシアと経済や軍事で深く結び付く。
モディ氏は1月、G20議長国として「グローバルサウスの声を増幅させる」と表明した。岸田氏はこれに呼応し、首脳会談でモディ氏を広島サミットに招待。食料問題や過剰債務、気候・エネルギーなど新興・途上国側が重きを置くテーマに取り組む考えを伝えた。
「2年連続の訪問自体がメッセージだ」。政府関係者は訪印の意義をこう強調した。
[時事通信社]
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