ゲームでホロコースト体験 開発者に聞く
【パリAFP=時事】第2次世界大戦中にナチス・ドイツによって収容所に送られるユダヤ人家族の一人となり、「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)」を体験するロールプレーイング(RPG)ゲームがリリースされた。≪写真はホロコーストを体験するゲームをプレーする人≫
「The Light in the Darkness(暗闇の中の光)」は、約600万人のユダヤ人の命を奪ったホロコーストを正確に描写した初のゲームとうたっている。
第2次大戦をテーマにしたゲームは、大ヒットした「コール オブ デューティ」シリーズなど多数あるが、ホロコーストについて触れたものはほとんどない。フランス出身で、現在は米カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とする開発者のリュック・ベルナール氏(36)はAFPにそう指摘した。
「ホロコーストの存在を否定しているようなものだ」
プレーヤーが行動を共にするユダヤ人家族は、ビシー政権下のフランスに暮らしている。一家は1942年、身柄を拘束され、パリのベル・ディブ競輪場に連れて行かれ、その後ピティビエの強制収容所に送られる。
「The Light in the Darkness」は、「フォートナイト」を手がけたエピック・ゲームズのストアで無料配布されている。同社は「私たちの使命は、新世代と、世界史上最悪の残虐行為が繰り広げられた時代に生きた人々の体験を結び付けることにある」としている。
ゲームの歴史に詳しいスイス・ベルン芸術大学のオイゲン・フィスター氏はAFPに、こうしたゲームによって残虐行為が矮小(わいしょう)化されかねないという懸念は以前からあったと指摘する。
ナチスを殺害するヒーローを描いた大ヒットゲームシリーズ「ウルフェンシュタイン」は例外だが、このゲームも史実に基づいた設定だとはうたっていない。
■「最後にプレーヤーが勝つゲームは作れなかった」
ベルナール氏によれば、ゲームの中でユダヤ人一家が悲劇的な運命をたどる中、プレーヤーは最終的なストーリー展開を変えることはできない。
「最後にプレーヤーが勝つゲームは作れなかった」とベルナール氏。「それではショア(ヘブライ語でホロコーストの意)ではなくなる」と話す。
ベルナール氏は、ゲームの制作に当たり、米ロサンゼルスとワシントンにあるホロコースト博物館のアーカイブでリサーチを行い、ホロコーストの生存者とも対話した。そのうちの何人かにはゲームのアップデート版で自身の体験を詳しく語ってもらうつもりだという。
ベルナール氏は15年ほど前、自身の祖母が戦時中にユダヤ人の子どもたちを英国に移送する作戦に参加した話に触発され、ホロコーストをテーマにしたゲームの開発に乗り出した。だが、資金不足と、コンセプトが「不快」と酷評されたことを受けて断念した。
しかし、時代は変わったとベルナール氏は言う。
「私の目標は、ホロコーストの記憶を絶やさないため、もっと多くの開発者に関心を持ってもらうことだ」と話した。
「The Light in the Darkness」は米ワシントン州シアトルのポップカルチャー博物館でも展示されている。近々、家庭用ゲーム機版もリリースされる。【翻訳編集AFPBBNews】
最新動画
最新ニュース
-
北朝鮮パネル延長を否決=ロシア拒否権、存続危機―国連安保理
-
米GDP、3.4%増に上方修正=個人消費引き上げ―昨年10~12月期
-
裏金事件、来週にも厳正処分=デフレ脱却「歴史的チャンス」―岸田首相、4月解散・総選挙を否定
-
24年度予算が成立
-
報徳学園が4強 高校野球
写真特集
-
【大相撲】大関・琴ノ若
-
【女子フィギュア】千葉百音
-
【野球】野球殿堂に入った名選手
-
【駅伝】第100回箱根駅伝
-
【女子フィギュア】吉田陽菜
-
【男子フィギュア】山本草太
-
【野球】日本シリーズ関西対決 阪神が38年ぶり日本一
-
【MLB】ドジャースの歴代日本選手