クレディ・スイス支援、予断許さず=UBSが買収検討報道
【ロンドン時事】経営不安が続くスイス金融大手クレディ・スイスを支援するため、スイスの同業UBSが買収を検討していることが17日、明らかになった。クレディ・スイスは顧客離れと株価下落に歯止めがかからず、信用不安の高まりは世界の金融市場を揺るがしている。ライバル同士の両社は今週末に買収を巡り協議すると報じられたが、先行きは予断を許さない。合意に失敗すればリーマン・ショックを招いたような世界的金融危機が再来する恐れもある。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)によると、UBSはクレディ・スイスの一部または全事業の買収を検討。両社がそれぞれ今週末に取締役会を開いて対応を決めるという。
クレディ・スイスの信用不安は、シリコンバレー銀行など米銀の相次ぐ経営破綻が飛び火したことが発端だ。クレディ・スイスの筆頭株主が追加出資を見送ると伝わったことで、株価は暴落した。
金融システムへの深刻な影響を憂慮したスイス国立銀行(中央銀行)は、資金供給を表明。クレディ・スイスは最大500億スイスフラン(約7兆1000億円)を調達する用意があると発表した。
ただ市場では、クレディ・スイスの根深い不祥事体質や巨額損失を生むリスク管理の甘さは、スイス中銀から一時的な資金を調達しても解消しないとの厳しい見方が多い。このため、中銀やスイス金融監督局(FINMA)はクレディ・スイスの信用不安解消に向け、UBSによる買収を後押しし、週明けまでの合意を望んでいるもようだ。
しかし、「このような大型案件は実現が困難な可能性がある」(FT)との慎重な見方もある。
2008年の世界金融危機は、経営不安に見舞われた米金融大手リーマン・ブラザーズの支援先が見つからなかったことが発端となった。UBSとクレディ・スイスの協議で信用不安の払拭(ふっしょく)につながるような結果が示されなければ、各国を巻き込んだ市場の混乱が再発しかねない。
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