賃上げ波及へ連携演出=掛け声倒れ懸念も―政労使会議
政労使会議が15日、2023年春闘の集中回答日に合わせて開かれた。大手企業の賃上げの勢いを中小企業や非正規雇用で働く人に波及させることを目指し、政府、労働界、経済界の連携を演出したものだ。ただ、生活実感に近い実質賃金は長年低迷し、物価高の中、節約志向が強まっている。賃上げの輪を広げていくのは容易ではなく、掛け声倒れに終わることも懸念される。
「構造的な賃上げ、持続的な賃上げに向けて今年は起点の年だ」。経団連の十倉雅和会長は会議後、記者団の取材に応じ、賃上げへの取り組みを続ける決意を示した。
前回の政労使会議は15年4月に開催。経済の好循環に向け、安倍晋三首相(当時)自ら中小企業の賃上げを求めた。しかし、実際に支払われた賃金に物価動向を反映させた実質賃金のその後の年間推移を見ると、前年を上回ったのは、16年、18年、21年の3回だけ。伸び率はいずれも1%に届かなかった。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「消費の押し上げや企業業績の改善が伴わなければ、賃金の伸びは途絶えてしまう」と指摘する。
政府関係者は「政労使会議は、やることに意味がある」と語る。しかし、賃上げムードを盛り上げるだけではなく、成長性のある分野への労働移動、企業の生産性向上といった実効性を高める取り組みも不可欠だ。
[時事通信社]
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