2023-03-14 15:38国際

トランプ政権の規制緩和が波紋=与野党の非難合戦に―米銀破綻

 【ワシントン時事】米政界では、シリコンバレー銀行(SVB)など中堅銀行の連鎖破綻が与野党の非難合戦に発展し、波紋が広がっている。与党民主党は、破綻はトランプ前政権下での金融業界への規制緩和が招いたと主張。バイデン米大統領は13日の演説で、規制の再強化を議会に要請すると表明した。
 「残念なことに、厳しい銀行規制の一部を前政権が覆した」。バイデン氏は2010年に民主党のオバマ元政権の副大統領として、リーマン・ショックの再発防止を目的とする金融規制改革法(ドッド・フランク法)の成立に尽力したとアピール。来年の大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領と共和党をけん制した。
 議論の焦点となっているのは、18年に実現した金融規制改革法の改正だ。連邦準備制度理事会(FRB)によるストレステスト(健全性審査)の対象銀行の要件を、連結総資産で「500億ドル(約6兆6600億円)以上」から5倍の「2500億ドル以上」とするなど、トランプ氏自ら旗振り役となって規制緩和を進めた。
 「ウォール街」たたきの急先鋒(せんぽう)で知られるウォーレン上院議員(民主)は、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、SVBの破綻時の最高経営責任者だったグレッグ・ベッカー氏がテストを免れるためにロビー活動を展開していたと指摘。「トランプ時代の危険な銀行規制緩和を見直すべきだ」と訴えた。
 一方、トランプ氏は自身のインターネット交流サイト(SNS)に「1929年よりもはるかに大きい大恐慌が起こる。銀行は既に崩壊し始めている!」と投稿。増税を唱えるバイデン氏に矛先が向くよう、不安をあおり立てた。前駐日米大使のハガティ上院議員(共和)も「SVBの経営陣と規制当局が悪い」と民主党の追及をかわした。
 バイデン氏は規制強化路線への回帰を掲げるが、先行きは不透明だ。昨年11月の中間選挙で共和党が下院の過半数を奪還し、政権と議会の支配勢力が異なる「ねじれ」状態となった。連鎖破綻による信用不安は収まらず、市場の動揺は続いており、バイデン政権は難しいかじ取りを迫られている。 
[時事通信社]

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