2023-03-14 19:04経済

パンや麺に値上げ圧力=輸入小麦、5.8%上昇―政府、算出方法変更で抑制も

輸入小麦の政府売り渡し価格の推移
輸入小麦の政府売り渡し価格の推移

 政府は14日、製粉会社への輸入小麦の売り渡し価格について、4月以降は1トン当たり7万6750円と、値上げ率を2022年10月~23年3月に比べて5.8%の上昇に抑制すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻の影響で約13%の上昇が見込まれていたが、算出方法を変更することで上げ幅を圧縮した。ただ、小麦粉を原料とするパンや麺類の小売価格を押し上げる圧力となりそうだ。
 売り渡し価格は08年10月の7万6030円を上回り、現行の算定方式での過去最高を更新した。野村哲郎農林水産相は同日の記者会見で、「輸入小麦から国産小麦へ、あるいは米粉への切り替え、米の消費拡大へ一層進めることが重要」と語った。 
 日本は小麦の8~9割を輸入に頼っており、政府が外国産小麦を一元的に買い付けて製粉会社などに売却。価格は通常4月と10月に改定され、直近6カ月間の平均買い付け価格をベースに算定している。
 輸入小麦は製粉会社が製粉して小麦粉にし、その小麦粉を原料に食品メーカーがパンや麺などを製造している。製粉会社は改定の約3カ月後にメーカーへの販売価格に反映する見通しだ。
 今改定についての農水省の試算によると、小麦関連製品の小売価格に占める原料費は、食パンが8%、外食の中華そばが3%、家庭で使われる小麦粉は29%。影響額は食パン1斤当たりでは1月時点の小売価格から0.5%上昇の1.1円、中華そば1杯分では0.2%上昇の1.1円などという。
 昨年10月の改定で政府は物価高を踏まえ、売り渡し価格を据え置いた。今年4月の改定では、昨年4月から1年間の価格をベースに算定するはずだったが、その場合の値上げ率は13.1%(1トン当たり8万2060円)。政府は家計の負担を軽減しようと、昨年2月のロシアのウクライナ侵攻直後に小麦の市況が急騰していた期間を算定期間から除外。直近半年間の輸入価格を基に決めた。

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