ロシアの五輪参加巡り、IOCに打つ手なし?=ウクライナ侵攻で分断―パリまで500日
100年ぶりのパリ開催となる夏季五輪まで、14日であと500日。新型コロナウイルス感染拡大の影響で原則として無観客だった2021年東京大会とは異なり、従来通り観客を入れて行われる予定だ。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が1年以上も続き、国際社会の分断や対立がスポーツ界にも影響を及ぼしている。
焦点はロシアと同盟国ベラルーシの選手がパリ五輪に参加できるか否かだが、状況は厳しい。ほとんどの国際競技団体(IF)は国際オリンピック委員会(IOC)の当初の勧告に従い、両国選手を国際大会から除外。一部で始まった五輪予選にも多くが出場できていない。
五輪予選の本格化が迫る中でIOCは方針を転換し、ロシアとベラルーシの選手の国際大会復帰を検討する必要性を今年1月に訴えた。国を代表しない「中立」の立場などの条件を付けたが、欧州を中心に反発を受けている。ウクライナ・オリンピック委員会は除外の継続を求め、「最終手段」として五輪のボイコットを示唆。両国選手の出場を認めているボクシングの女子世界選手権(15日開幕、ニューデリー)には、米英などと歩調を合わせて不参加を決めた。
五輪開催国のフランスを含む日米英など30カ国以上は、IOCの方針転換に関して閣僚級の共同声明で「強い懸念」を表明。ロシアは国から直接支援を受ける選手が多いにもかかわらず「中立」の立場で競技ができるのかと問いただした。夏季五輪国際競技連盟連合も、「中立」の定義を明確にする必要性を主張した。
一方で、アフリカ国内オリンピック委員会連合は「中立」でのパリ五輪参加を支持。国際フェンシング連盟も10日、国際大会出場容認を決めた。ロシアの競技力が高いフェンシング界がいち早く同調姿勢を示した背景には、この競技出身のバッハIOC会長による根回しも見え隠れする。
アジア・オリンピック評議会はアジアでの大会にロシアとベラルーシの選手が参加できるよう協力する方針で、具体的な協議に入ったIFもある。ただ、それも一枚岩ではないようだ。IOCはアジア勢の五輪出場枠には影響しないとしているが、日本のある競技団体幹部は「アジアでの五輪大陸予選にロシアが入ってくるかもしれない。それは話が違う」と述べ、反対する意向。ロシア勢が強い競技は特に、五輪出場枠を争うのを避けたい思いがある。
スポーツ関係者の多くは、28日から開かれるIOC理事会の行方を注視している。あるIF幹部は「今回の問題は(当初は除外を勧告した)IOCが自ら招いたミス。侵攻が2~3カ月で終わると見誤った結果だ」と厳しく指摘。IOCにはスポーツ界の分断を修復する役割が期待されるが、「次の手はないのでは」と悲観的な見方を示した。 (時事)
[時事通信社]
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