進まぬ議会のセクハラ対策=女性参加の妨げに―出産、育児では改善も・23統一選
女性の政治参加で日本は国際的に大きく遅れている。総務省によると、都道府県議会や市区町村議会での女性議員比率は約15%(2021年末現在)。男性が大多数を占める状況は変わっていない。子育てとの両立に向けた環境整備は進みつつあるが、セクハラ防止などに乗り出す議会はまだ一部で、女性参加の妨げになっている。
◇もう黙らない
東京都西東京市議会の後藤優子市議は今年1月下旬、70代の男性市議から突然、「あなたは議会人ではない。専業主婦になった方がいい」と言われた。発言を聞いていた納田里織市議と共に抗議すると、男性市議から「不適切な発言をし、申し訳ございません」との謝罪文が手渡された。
2人は同僚議員から同様の発言を繰り返し受けてきたが、議員活動への影響を考え、これまで黙って耐えてきた。納田市議は「それがセクハラを許す土壌をつくってしまった」と振り返る。
千葉大大学院の後藤弘子教授(刑事法)は男性市議の発言を「女性の政治参加を阻害するものだ」と批判。「民間に比べ議会は対応が遅れている」として、ハラスメント禁止条例の制定などを呼び掛ける。
◇「票ハラ」相談窓口
有権者が投票の見返りにさまざまな要求を迫る「票ハラ」。内閣府が20~21年に実施した調査では、選挙への立候補を断念した女性494人の27.2%が、有権者などから「性別に基づく侮辱的な態度や発言」を受けたと答えた。「投票、支持の見返りに何らかの行為を要求」も18.5%いた。
こうした現状を受け、統一地方選を前に大学教授らが「女性議員のハラスメント相談センター」を開設。厚生労働省での記者会見に同席した女性議員は「街頭活動中に抱き付かれた」「『何で俺の所に来ないんだ』と言われた」と、票ハラの実態を明かした。
同センターでは、女性候補者の相談に弁護士や先輩議員が応じる。浜田真里共同代表は「一人で被害を抱え込まないでほしい」と訴える。
◇議長の出産を機に
一方、地方議会では議員活動と子育ての両立に向け、出産や育児で欠席を認める動きが広がっている。内閣府によると、22年7月1日時点で全国1741市区町村議会の9割超が出産を会議規則の欠席理由に明記。育児も8割近くに上った。
群馬県榛東村議会は18年、当時議長だった南千晴村議の出産を機に、全国に先駆けて会議規則を改正。その後、乳児がいる議員が休憩を申し出れば、会議を30分以上中断する仕組みも導入し、授乳などに充てられるようにした。南村議は「子育てと両立できると分かれば、議員にチャレンジする人も増えるはず」と話す。
「出産議員ネットワーク」代表世話人の永野裕子東京都豊島区議は、妊娠や出産をした議員へのサポートについて「命に関わる問題だが、長年放置されてきた。規則改正は第一歩」と指摘。行動計画の策定など、さらなる取り組みを求めている。
[時事通信社]
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