2023-03-06 17:33社会

タクシー運賃値上げ、仮差し止め=国の「強制」、裁量権の乱用―東京地裁

 国による東京都内のタクシー運賃一律引き上げを巡り、東京地裁(鎌野真敬裁判長)は6日までに、強制的な値上げを「裁量権の乱用」と判断し、値上げに応じなかった「ロイヤルリムジン」側の訴えを認め、運賃変更命令やこれに従わないことを理由とした事業許可取り消し処分の仮差し止めを決定した。決定は2月28日付で、会社側が記者会見し明らかにした。
 関東運輸局は昨年10月、燃料費の高騰に伴い、東京23区と三鷹、武蔵野両市のタクシー運賃幅の引き上げを公示した。普通車初乗り運賃は下限が390円から470円に引き上げられたが、同社側は「予約送迎の固定客を失いかねない」と判断し、これより安い初乗り運賃で営業を継続。同年12月に運輸局から是正指導を受け、運賃変更命令や事業許可取り消し処分の恐れが出ていた。 
 鎌野裁判長は決定で「運賃引き上げは固定客の喪失による営業収入の減少などにつながり得る」と指摘。過度の運賃競争が起きる可能性について検討が不十分だとして、「一律値上げの判断は合理性を欠き、裁量権の逸脱、乱用があった」とした。
 同社の金子健作社長は会見で「リーズナブルで身近な乗り物として利用してもらいたい」と語った。関東運輸局は「関係機関と協議し方針を決定したい」とコメントした。
[時事通信社]

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