2023-02-07 14:17World eye

燃料高騰 欧州は暖冬で危機回避も来冬に関心

【パリAFP=時事】欧州はこれまでのところ、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機を乗り切ることができている。だが企業や市民は次の冬をどう乗り越えるか、すでに思案し始めている。≪写真は、ドイツ北部に新設された液化天然ガス〈LNG〉ターミナル≫
 暖冬と政府の助成、満杯になったガス貯蔵施設、ロシア以外からのエネルギー輸入などのおかげで、欧州諸国は戦争による経済への影響を抑えられている。
 ドイツ西部の工業都市ドルトムント郊外にあるビール醸造所「フェルティンス」は、再利用可能な瓶を導入したり、ガスオーブンで燃料油が使えるように一部改造したり、3000万ユーロ(約43億円)分の原材料を買い込んだりして対応した。
 同社の担当者はAFPに「減産せずに済んだ」と話した。
 侵攻以前にはロシア産ガスに大きく依存していたドイツは、ロシア政府による供給停止を受けて、消費者に多額の助成を行い、直ちに貯蔵施設を満たし、新たな供給元を見つけ出した。
 冬季の貯蔵量を増強するため、ドイツをはじめ欧州連合(EU)の近隣国は、パイプラインで輸送されるロシア産よりも割高な液化天然ガス(LNG)をカタールと米国から輸入した。
 欧州の現在のガス貯蔵量は許容量の72%で、昨年同時期と比べ2倍以上ある。
 今年は例年に比べ暖冬であるため、欧州の消費者は暖房をつける時間を短くして光熱費の支出抑制に努めており、貯蔵量の枯渇も防げている。
 ベルギー・ブリュッセルのシンクタンク「ブリューゲル」によると、2019~21年の平均と比べ、ウクライナ侵攻以降、22年の天然ガス需要は12%減少した。
 さらに、フランスでは停止していた複数の原発を再稼働させた。
 侵攻後、欧州のエネルギー価格は過去最高レベルに高騰。昨年8月には1メガワット時が300ユーロ(約4万3000円)を超えた。その後、各国政府が貯蔵量を急いで確保したことから、価格は落ち着いた。
 欧州の主要な先物取引価格は現在55ユーロ(約7800円)前後に落ち着いている。だが、これも新型コロナウイルスの世界的な大流行以前に比べるとほぼ2倍の額だ。
 とはいえこれだけ値下がりしても、エネルギー卸売業は数か月前倒しで買い付けるため、家庭の光熱費の高騰は今も改善しておらず、支払いに苦慮する家庭もある。
 国の給付金で暮らしている英ロンドン在住のドーラ・ジーザスさん(42)は「来月も厳しい」と話した。これまで光熱費は82ポンド(約1万3000円)だったが、最近100ポンド(約1万6000円)を超えた。
 アナリストは、以前のような価格に戻るまで数年かかるとの見方を示している。
 エネルギー調査会社リスタッド・エナジーの上級アナリストは「誰もがすでに2023年から24年にかけての冬に目を向けている」とし、ロシアからの供給は当てにできないと指摘した。
 さらに「2023年、欧州はこれまで以上にLNGに依存することになる。初めて丸1年、ロシアからの(ガス)供給が減る中で過ごすことになるためだ」と指摘。もしアジアの需要が回復すれば、「LNGをめぐる競争が欧州・アジア間で激化し、今より高騰する可能性もある」と述べた。【翻訳編集AFPBBNews】

最新動画

最新ニュース

写真特集