ウクライナ「早く元の生活に」=「北方領土の日」前に元島民―侵攻から1年、境遇重ね
ロシアによるウクライナ侵攻から間もなく1年となる。7日の「北方領土の日」を前に、元島民の清田進さん(83)=川崎市=が取材に応じ、故郷を追われた自身の体験をウクライナの現状と重ね合わせ、「早く元の生活に戻ってほしい」と願った。
清田さんは歯舞群島最大の志発島で生まれた。戦前は約2200人が住んでおり、コンブやウニ、ホタテなどの水産資源が豊富だったという。清田さんもコンブを干す作業を手伝っていたといい、島民は乾燥させたコンブを全国に出荷するなどして豊かな生活を送っていた。
状況が一変したのは1945年8月。日ソ中立条約を無視して同9日に参戦したソ連は、日本のポツダム宣言受諾後も攻撃を続け、同28日から9月5日までの間に択捉、国後、色丹、歯舞の北方四島を占領した。
ソ連軍が攻めてくるという情報を聞いた清田さんは8月末の夜、コンブ漁に使われる木造の小型船を使い、家族8人で北海道の根室半島を目指した。「朝に着くまで祈るような気持ちだった。潮の流れが激しい場所もあり、船が途中で沈没して亡くなった人もいる」と振り返る。
ロシアによるウクライナ侵攻でも多くのウクライナ人が故郷を追われた。清田さんは「民間人を攻撃し、困らせるのがロシアのやり方だ」と憤る。「占領された地域の方はつらく、ロシアを一生恨むだろう。早く元の生活に戻ってほしい」と早期の終結を祈った。
新型コロナウイルス流行を理由に、現地を訪れての墓参や、日本人と北方領土に住むロシア人による「ビザなし交流」は2019年を最後に3年以上行われていない。昨年9月には、日本の制裁に反発したロシアがビザなし交流に関する合意を一方的に破棄した。清田さんは「現地への訪問再開は厳しいだろう」と肩を落とす。「毎年でなくてもいいから、自分の故郷で墓参りだけはさせてほしい」と訴えた。
[時事通信社]
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