米上空気球、新たな火種に=軍事情報収集か、中国は「研究用」主張

【ワシントン、北京時事】米国防総省は2日、中国の偵察気球が米本土上空を飛行しており、監視・追跡していると発表した。中国外務省は3日夜、気球は中国から飛来した「気象研究用」のものであるとして「遺憾」を表明。ブリンケン米国務長官は5日からの訪中を予定していたが、米国務省高官は3日、急きょ訪問を延期したと明らかにした。偵察気球を巡る問題は、両国の新たな火種となりそうだ。
米政府高官は、偵察気球の米本土飛行は「主権と国際法の明白な違反で容認できない」と非難した。
米政府高官によると、偵察気球は数日前に米領空に入り、2日時点で西部モンタナ州の上空に到達。同州のマルムストローム空軍基地には、米国内に3カ所ある核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル「ミニットマン3」の発射施設の一つがあり、「機密情報の収集が目的であることは明白だ」(高官)という。
米軍は追跡のために最新鋭ステルス戦闘機F22を出動させたほか、近くにある国際空港の発着を一時停止させた。ただ、地上に破片が落下する危険があるとして、偵察気球の撃墜を見送っている。
中国外務省によると、問題となった気球は「民生の、気象学など科学研究用」で、偏西風によって当初予定したコースを大幅に外れた。外務省は3日午後の定例会見では「状況を確認中」で「臆測や大げさな騒ぎ」を控えるよう求めていたが、同日夜には一転、「不可抗力で米国に誤って入ったことについて、遺憾の意を表明する」と発表。「中国は引き続き米国との意思疎通を保持し、不測の事態に対処する」と強調した。
偵察気球の追跡を公表した2日には、米国とフィリピンの両政府が米軍によるフィリピン国内の基地使用拡大で合意した。東・南シナ海で軍事的圧力を強める中国をけん制するのが狙いで、使用可能な基地は新たに4カ所増え、9カ所となる。米国は1月11日にも日本の沖縄県に駐留する海兵隊の改編を決めたばかりで、台湾有事に警戒を強めている。
米中関係は昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問をきっかけに一層悪化。同年11月の米中首脳会談で歩み寄りの機運が強まり、5日からのブリンケン氏の訪中でも習近平国家主席との会談が見込まれていた。しかし、今回の気球や米フィリピンの合意などを背景に、米中の緊張緩和の難しさが改めて浮き彫りになった格好だ。
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