美濃加茂市長の再審開始認めず=汚職事件で有罪確定―名古屋高裁
受託収賄などの罪で有罪が確定し、その後の選挙で返り咲いた岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長(38)が申し立てた再審請求について、名古屋高裁(田辺三保子裁判長)は1日、再審開始を認めない決定をした。藤井氏は即日、異議を申し立てた。
藤井氏は捜査段階から一貫して無罪を主張しており、確定判決が有罪の根拠とした「市長に現金を渡した」とする設備会社社長の供述の信用性を崩せるかが争点だった。
弁護団は新証拠として、公判で贈賄側供述の信用性を高める証言をした社長の知人2人が「検察官に事実と違うことを思い込まされた」などと証言を覆した陳述書を提出。依頼した専門家による「社長の供述は体験に基づかない」との心理鑑定結果も出していた。
田辺裁判長は、陳述書について「不自然でにわかに信用し難い」と指摘。鑑定結果も供述の信用性への影響は限定的だとし、いずれも無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらないと判断した。
藤井氏は記者会見で、証人尋問などがなかったことに触れ、「話くらい聞いてくれてもいいんじゃないか。悔しさというか憤りが込み上げてくる」と話した。
藤井氏は2013年6月、当時最年少の市長として初当選。しかし就任から約1年後、融資金詐欺事件で逮捕されていた社長の供述をきっかけに、前職の市議時代に賄賂を受け取ったとして逮捕された。
一審名古屋地裁で無罪となったものの、二審名古屋高裁で懲役1年6月、執行猶予3年の逆転有罪となり、17年12月に最高裁で確定した。21年11月に再審請求していた。
藤井氏は最高裁での上告棄却を受けて辞職。執行猶予中は公民権が停止されていたが、昨年1月の市長選で復帰した。
◇適正・妥当な決定
山田利行・名古屋高検次席検事の話 適正・妥当な決定だと考えている。
◇美濃加茂市長を巡る動き
2013年 6月 全国最年少で美濃加茂市長に初当選
14年 2月 愛知県警が融資金詐欺事件で設備会社社長を逮捕
6月 愛知、岐阜両県警が贈収賄容疑で市長と社長逮捕
15年 1月 名古屋地裁が社長に懲役4年の実刑判決(確定)
3月 同地裁が市長に無罪判決
16年11月 名古屋高裁で懲役1年6月、執行猶予3年の逆転有罪
12月 市長を辞職
17年 1月 出直し選挙で再選。その後無投票で3選
12月 最高裁が上告棄却。再び市長辞職
異議申し立て棄却、有罪確定
20年12月 執行猶予期間満了、公民権が回復
21年11月 再審請求
22年 1月 選挙出馬、市長に返り咲き
23年 2月 名古屋高裁が再審開始を認めない決定
[時事通信社]
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