日産、「不平等条約」解消へ=ルノー出資下げ、最終局面―「ゴーン後」立て直し急ぐ

日産自動車と仏自動車大手ルノーによる資本関係見直し交渉が、最終局面を迎えた。バブル崩壊後の経営危機でルノーから出資を受け入れて24年。日産は企業規模で上回るにもかかわらずルノーに対する議決権がない「不平等条約」の解消が悲願だった。近年の日産は業績や株価が伸び悩むが、歴史的転換を契機に、「ゴーン後」へ立て直しを急ぐ構えだ。
1999年に日産と資本提携したルノーは、「コストカッター」の異名を持つカルロス・ゴーン氏を日産に送り込み、リストラを断行。同氏が社長に就任した2000年以降は、業績がV字回復したこともあり、「ゴーン流」経営がもてはやされた時期もあった。
ただ、資本関係はルノーが日産株の40%超を保有する一方、日産のルノー株保有比率は15%にとどまってきた。フランスの法律で日産はルノー株の議決権がないなど、いびつな関係だったものの、両社は車台の共通化など規模のメリットを追求してきた。
しかし、ルノーが規模に勝る日産との経営統合を画策していたことで、日産側の不信感が一気に高まった。18年に東京地検特捜部がゴーン会長(当時)を金融商品取引法違反の疑いで逮捕。日産が臨時取締役会で同氏を解任するなど、両社の関係は再構築を迫られた。
ゴーン氏が日産を去った後も、仏政府主導で日産をルノーに取り込もうとする動きが発覚。危機感を抱いた日産内では、資本関係を見直すことが悲願となった。ある日産幹部は「安心して提携を続けるには対等な関係への見直しがどうしても必要だ」と吐露する。
今回の資本関係見直しは、ルノーが電気自動車(EV)の新会社を分社化する計画を機に、動きだした。欧州で急速に進むEV化に対応するため、ルノーは日産に新会社への出資を要請。これに対し日産は、対等な資本関係に向けて出資引き下げを求めた。
次世代EVの開発には、電池の性能向上などに莫大(ばくだい)な資金を要する。ルノーは、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシア事業で多額の損失を計上している。ルノーが日産株の保有比率引き下げに応じる背景には、開発資金を早急に手にしたい思惑が見え隠れする。
両社は今後、対等な資本関係を基盤に、米半導体大手クアルコムやグーグルとも連携。自動運転や「コネクテッドカー(つながる車)」などEV時代の新たな協業の在り方を模索する。だが、今回の交渉ではEV新会社での知的財産権の保護が懸案となった。知財の流出をいかに防ぐかは依然課題として残る。三菱自動車も加えた日仏3社連合は22年世界販売台数で韓国の現代自動車グループ(起亜自動車を含む)に抜かれて4位に甘んじており、巻き返しが急務だ。
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