実質賃金、8年半ぶり下落幅=物価高が家計圧迫、春闘焦点に
厚生労働省は6日、物価変動を反映させた2022年11月の実質賃金が前年同月比3.8%減と、8年6カ月ぶりの下落幅になったと発表した。食品や電気代など幅広い品目の値上がりに賃金の伸びが追い付かず、家計が一段と圧迫されている。近く本格化する23年春闘は、物価上昇分を超える賃上げが実現するかどうかが焦点となる。
連合は物価高に対応し、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含め5%程度の賃上げを要求。岸田文雄首相も経済界に物価上昇分を上回る賃上げを求めた。大手企業の間では既にベア実施に向けた動きが出ている。
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は、今春闘でベアを含めて6%の賃上げを行う方針を表明している。新浪氏は「インフレになって社員の生活が苦しくなる。今までと違って賃上げはマスト(必須)だ」と説明する。
日本生命保険は23年度に、約5万人の営業職員を対象に7%程度の賃上げを行う方針。キヤノンは今月、20年ぶりに事実上のベアに踏み切り、全従業員の基本給を一律7000円引き上げる。日揮ホールディングスも4月、ベアなどで月額約10%の賃上げを行う。
ただ、労働者の7割を占める中小企業は大手と比べて経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)で、賃上げがどの程度広がるかは未知数だ。日本商工会議所の小林健会頭は、昨年の中小企業の賃上げ実績について「7割は業績の改善が伴わない、(人材確保のための)防衛的なものだった」と説明。持続的な賃金引き上げのためには、取引価格の適正化などが不可欠だと訴える。
みずほリサーチ&テクノロジーズは、今春闘の賃上げ率を2.59%と予想。連合の目標を大きく下回る。燃料費高騰に価格転嫁が追い付かず、賃上げの原資を十分に確保できる企業は限られることなどから、「物価上昇に負けない賃上げの実現は難しい」と指摘している。
[時事通信社]
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