2023-01-05 19:42政治

岸田首相、今年も連合に秋波=くすぶる「国民連立論」

 岸田文雄首相は5日、連合主催の新年交歓会に今年も出席し、良好な政労関係をアピールした。立憲民主党と国民民主党の最大の支持団体である連合への接近には、野党と連合の分断を図ろうとする狙いも見え隠れする。国民を自民、公明両党の連立政権に加える案はなおくすぶっており、与野党と連合の思惑は交錯する。
 「政府として取り組みを後押ししていく」。首相は交歓会のあいさつで、連合が今年の春闘に向けて「5%程度」の賃上げ要求水準を掲げたことに触れながらこう強調した。「失業なき労働移動を進めることにより、働く人の立場に立って労働市場改革を加速していく」とも語った。
 首相は昨年のこの会合に、自民党出身の首相として2013年の安倍晋三氏以来9年ぶりに出席した。2年連続の参加は、距離を置いてきた安倍、菅両政権と比べて違いが際立つ。
 連合も芳野友子会長が就任して以降、政権との距離を縮めてきた。芳野氏は5日の記者会見で首相の2年連続参加を「非常に光栄だ」と歓迎。会合のあいさつでは「政労使が目指すべき未来を共有し、豊かさと希望を感じられる道を歩むべきだ」と呼び掛けた。
 会合には立民の泉健太代表、国民の玉木雄一郎代表も招かれた。ただ、壇上で発言する機会はなかった。政党ではなく政府の立場とはいえ、首相と加藤勝信厚生労働相があいさつを求められたのとは対照的だった。自民党内には4月の統一地方選や次の衆院選をにらみ、労組票の切り崩しを進めやすいとの期待も広がる。
 自民党の麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長は国民民主との連立を模索しているとされる。連合傘下の民間労組を政権側に引き寄せる思惑がある。自民、国民、連合はいずれも連立構想を否定するが、国民は22年度予算に賛成するなど「与党寄り」に映る行動を続けている。国民関係者は今後の展開について「いろいろな可能性がある」と話した。
 一方、自民党内には国民との連立構想実現に懐疑的な見方も根強い。党幹部は「実現しないだろう。トヨタやスズキ(の労組)が自民党側に来ないと意味がない」と語った。 
[時事通信社]

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