アマゾン先住民の村、若者の自殺相次ぐ コロンビア
【アララAFP=時事】南米コロンビアのアマゾン熱帯雨林にある先住民ティクナの村アララで、10代の若者の自殺が相次いでいる。≪写真はコロンビア・アララで儀式に参加する先住民ティクナのシャーマン≫
9月に入り事態を重く見たシャーマンが、アルコールやサッカー、音楽なしで過ごす「隔離」の儀式を開始した。西洋から侵入した悪習が若者を先祖の価値観から遠ざけているとして、「悪霊」を村から追い払うためだ。
まずはたばこを吸い、花を浸した水を飲む夜通しの儀式から始まった。村人はその後20日間にわたり、「欧米」の雑念と見なされるものを排除して過ごす「隔離」下に置かれた。
人口1200人のアララに行くには、近郊の最大の町レティシアから車で25キロほど移動し、そこからさらに1時間ジャングルの中を歩かなければならない。
シャーマンの一人、イバン・アンガリタさん(40)は、18歳の一人息子を自殺で失った。儀式の1週間前には10代の少女とシャーマン1人が亡くなるなど村では自殺が相次いでいるが、公式な統計はない。
ティクナの別の村サンマルティンデアマカヤクでも若者の自殺が相次いでいる。
教師のロイダ・アンヘル・ルイスさん(53)は「若者がわたしたちを残して行ってしまう」と話す。「首をつったり、銃や毒を使ったりして死ぬのは、この状況から抜け出せないからだ」
先住民のリーダーたちによると、コカイン生産国として知られるペルー国境に近いこの地域では、薬物・アルコール中毒が問題となっている。
コロンビアのアマゾン熱帯雨林の住民は、先住民が58%を占める。当局によると昨年、アマゾン地域の10万人当たりの自殺者数は9.87人で、全国平均の2倍近くに上った。
ブラジル、ペルー、仏領ギアナでも、先住民の自殺率は平均を上回っている。
その理由として、伝統的な習慣や価値観が失われつつあることや差別、より良い生活を求め都会へ行った若者の挫折、暴力的な環境、地元に仕事がないことなどを専門家は挙げている。
コロンビア国立大学の教授で精神科医でもあるターニャ・マルティネス氏は、「若者はどこにも属していないと感じており、いら立っている」と説明した。
このような状況は、子どもの頃から始まっているという。遠隔地出身の先住民の子どもは町の寄宿学校にいれられるが、そこでは差別がまん延している。
卒業後も仕事を見つけられず、漁や畑仕事を身につけないまま、地元に戻ることになる。伝統的な見合い結婚を勧める家族と対立することもある。
マルティネス氏は、先住民の自殺は「性的虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)、差別を恐れ隠さざるを得ない同性愛」などが関係していることも多いと指摘する。
アララの住民アベル・サントスさん(50)はAFPに対し、10年ほど前まで自殺はめったになかったと語った。その後「時々」起こるようになり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以来、頻発するようになったという。【翻訳編集AFPBBNews】
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