2022-09-21 17:40政治

「分水嶺」の国連改革=ロシア侵攻で岸田首相危機感

 【ニューヨーク時事】岸田文雄首相は、日本の首相として3年ぶりに出席した国連総会で演説し、国連改革を訴えた。日本は長年、安全保障理事会の改革を掲げており、ウクライナ危機で安保理が役割を全く果たせなかったことに危機感を強めているためだ。ただ、各国の利害が交錯する国連で改革が実を結ぶかは見通せない。
 「今われわれは歴史的な分水嶺(れい)に立っている」。首相は20日の演説の冒頭、ウクライナに侵攻したロシアを念頭にこう切り出した。
 国連創設から77年。ウクライナ危機で第2次世界大戦後に築かれた国際秩序が揺らいでいるとの危機感の表明だ。首相は演説で機能不全が指摘される安保理改革を柱に据えた。
 国連改革をめぐって日本はドイツ、インド、ブラジルとつくる「G4」の枠組みで共闘してきた。2005年、常任・非常任理事国を拡大するなどの「G4決議案」を提出したが廃案となった。以降も安保理改革を掲げてはいるが進展する気配はない。
 そこへきて今年2月にウクライナ危機が発生。その直後、ロシア軍の即時撤退を求める決議案は安保理でロシアが拒否権を発動し否決された。一方、3月の総会では、対ロ非難決議が圧倒的多数で採択された。首相は「国際社会の進むべき方向を示すことができた」「総会こそが唯一の普遍的な機関」と持ち上げた。
 首相がどの国も拒否権を持たない総会を評価したのは、安保理改革の見通しが立たないからにほかならない。首相は「交渉なくして改革なし」と力を込め、総会への決議案提出を視野に、日本が主張してきた「文言ベースの交渉開始」に言及した。ただ、演説で具体案を示すには至らず、政府関係者は「詳しく『こう変える』と言うと、賛同が得られない」と解説する。
 ロシアの侵攻以来、国連でのロシアの行動に日本政府は、台湾への軍事的圧力を強める中国の動きを重ね合わせてきた。首相は演説で「力や威圧による現状変更の試みは決して認めない」と語気を強めたが、国連改革は容易でない。外務省関係者は「常任理事国が自ら侵略戦争を起こして国連が止められないのが現状だ」と吐露した。 
[時事通信社]

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