2022-08-15 16:15World eye

西欧最高峰モンブラン 猛暑で落石多発 「冷蔵庫サイズ」も

【シャモニーAFP=時事】西欧最高峰のモンブラン(標高4807メートル)で冷蔵庫サイズの岩の落下が多発している。欧州を襲っている熱波と猛暑の影響とみられる。≪写真はモンブランのメール・ド・グラース氷河≫
 アルプス山脈にそびえるモンブラン山頂への七つのルートは、公式には閉鎖されていない。だが、今年は巨大な亀裂がむき出しとなり、登頂はこれまで以上に危険となり、多数の登山客の足を遠ざけている。
 ■「間違いなく地球温暖化のせい」
 モンブランの麓、フランス南部のリゾート地シャモニーでは観光シーズンの真っ盛りだ。
 エギーユ・デュ・ミディの山頂までは、毎日数千人の観光客がケーブルカーで訪れる。
 だが、モンブラン登頂ルートの出発点や、バレーブランシュ氷河横断へと向かう人は比較的少ない。
 英スコットランドから訪れたエバン・ワーデンさんと14歳の息子デービッドさんも、エギーユ・デュ・ミディ周辺の氷河を楽しみにしていた。だが氷河は悲惨な状態だった。
 「歩いたところは落石だらけで、クレバスがあちこち口を開けていました」とアルプスを初めて訪れたデービッドさん。
 ワーデンさんは「こんなに多くの落石はここでは長い間、見たことがありません。間違いなく地球温暖化のせいです」と語った。
 ■夜も凍結しない氷
 シャモニーや近隣のサンジェルベの登山ガイド業者は、人気のグーテ小屋ルートの登山を7月半ばに中止した。同ルートには「死の回廊」と呼ばれる箇所があり、落石で命を落とす危険があるからだ。
 トロワモンルートの山小屋の管理人ノイ・ベリテさんは、ここ数週間の猛暑で山の地盤が緩くなっていると語った。
 標高3610メートルの小屋に設置された温度計は最近、深夜にもかかわらず6度に達した。そのため解けた氷が再び凍結せず、登山者は来た道を引き返さざるを得なかった。
 現地の山岳ガイド団体「シャモニーガイド協会」のオリビエ・グレベール会長によると、今年モンブラン登頂に臨んでいるのは10人程度で、ほとんどがプロの登山家だ。例年なら最大120人が挑戦している。
 ■「異常な夏」 重なった要因
 アルプス山脈には数千の氷河が存在しているが、そのいくつかではトレッキングが難しくなっている。
 スイス・チューリヒ大学の氷河学者アンドレアス・リンスバウアー氏は「今の氷河の状態は、例年の夏の終わりか、それ以降の時期に近いです」と指摘する。「氷河融解の記録が更新されるのは確実です」
 「異常な」夏となった要因はいくつかある。まずは昨冬の降雪量が極端に少なかったことだ。そのため氷河を覆う雪も少なかった。
 さらに今年の初めにはサハラ砂漠から飛来した砂で雪が薄黒く染まり、雪解けが早まってしまった。
 それに追い打ちをかけたのが、早くも5月に欧州を襲った熱波だ。熱波は6月、7月にも連続して到来し、高所の気温も押し上げた。
 7月上旬にはイタリア北部のマルモラーダ山で、氷河の崩落による雪崩が発生し、11人の死者が出た。専門家は急速な雪解けが氷河の危険度を高めた可能性を指摘している。【翻訳編集AFPBBNews】

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